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  西日本にも広がる電力不足、
産業の足かせに

 東日本大震災による東京電力福島第一原子量発電所の事故に端を発し、全国的に電力不足となる懸念が生じてきた。東京電力東北電力管内だけでなく、中部電力関西電力管内でも原発の稼働停止や、定期検査中の原発の再稼働が難しくなってきたからだ。電力不足はあらゆる産業にとって生産活動の足かせになる。震災の余波で日本のものづくりが思わぬ所で危機に晒される懸念が生じてきた。
 原発の停止により、東京電力と東北電力管内では今夏、大幅な電力不足が予想されている。経済産業省によると、東京電力の今夏の電力供給力は5380万キロワット(電力融通後)、東北電力は1370万キロワット。想定されるピーク電力需要はそれぞれ6000万キロワット、1480万キロワットであるため、東電管内では10.3%、東北電管内では7.4%の電力が昼間のピーク時間帯に不足する。電力需要が供給を超えれば、予期せぬ大停電を起こしかねない。
 政府は大口需要家、小口需要家、家庭全てにおいて、ピーク電力の一律15%削減という目標を設定した。契約電力が500キロワット以上の大口需要家は目標達成が義務付けられ、違反すると100万円以下の罰金になる。資源エネルギー庁によると、東電管内の夏のピーク時間帯の電力需要は、業務用が41.6%と最も高い。次いで家庭が全体の30%、産業部門は28.3%を占める。気温が上昇し家庭や業務用の電力需要が上昇すれば、再び計画停電という事態になりかねない。家庭での節電は不可欠だが、大口需要家に対しては電気事業法に基づく電力使用制限を課すことで節電を担保し電力不足を乗り切る方針だ。
 自動車業界では7〜9月の3カ月間の休日を土曜・日曜から木曜・金曜にずらす休日変更の実施に踏み切る。電力需要が少ない土日に工場を稼働すれば、電力不足を理由に生産活動が制限されることはないからだ。川崎重工業を除く日本自動車工業会(自工会)加盟の全メーカーが全国で実施し、部品メーカーや車体メーカー(架装メーカーを除く)も含めた自動車産業全体で休日が一斉に変わることになる。
 実は自工会は、休日変更を他の産業にも提案し、産業界全体が平日に順番に休日をとることで夏場の電力需要を平準化することを目指していた。例えば電機業界は月火、鉄鋼業界は水木、自動車業界は木金というように休日を設定し、それぞれが土日に稼働すれば電力需要のピークをつくらなくて済む。しかし他の業界団体は会員企業が多く、なかなか全体で歩調をあわせることが難しい。一つのメーカーでも生産品目も多岐にわたり、自動車のように業界全体で一斉に休日をずらすことは困難だ。半導体工場などは設備を24時間・365日稼働させなければならない。こうした理由で自工会に賛同する業界や企業は12社にとどまり、自工会が目指した産業界全体での輪番休業は実現できなかった。
 他業界との協力による輪番休業が実現できなかったことで、自動車業界は月曜〜水曜もピーク電力15%削減のための対策を講じる必要がある。特に、電力使用制限がかかる東電、東北電管内の事業所では、ピーク時間帯の操業を止めるなどの操業シフトの変更を行うメーカーもあるほか、自家発電の増強といった対策も必要になる。だが「すでにかなりの節電を従来から行っており、15%削減の目標達成はかなりハードルが高い」(大手メーカー)のが実態だ。 一方、原発問題を背景にして、電力不足が中部電力や関西電力管内の西日本エリアに広がり、全国的な電力不足が慢性化するという懸念が高まっている。中部電力は政府の要請に基づき浜岡原子力発電所の稼働を停止した。関西電力は定期点検中の原発の再稼動ができなければ供給能力が不足するとして、東電同様、7月1日から9月22日まで15%程度の節電を要請すると発表した。電力会社は火力発電の強化や揚水発電による能力の増強を急ぐが、火力発電が増えることで電気代が上昇するという指摘もある。電力問題が広がれば産業の海外移転が加速し、自動車メーカーも生産の海外シフトを強めざるを得ない状況になる。節電とともに、電力に占める自然エネルギーの割合を早急に増やし電力への不安を和らげること日本のものづくり維持のためにも必要だ。