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  平成24年度税制改正大綱が決定。
エコカー減税延長も取得税、重量税廃止は先送り

 平成24年度の税制改正大綱が12月10日に決定した。焦点だった自動車の車体課税は自動車業界が要望していた自動車取得税と自動車重量税の廃止がまたも先送りに終わった。
 取得税と重量税をめぐっては、道路特定財源制度が2009年度に廃止されたことを受けて「課税根拠がなくなった」として日本自動車工業会などの自動車業界団体が廃止を求めてきた。平成24年度税制改正はその正念場だったが、財務省の強い抵抗により、実現までには至らなかった。政権与党の民主党は自動車業界の強い要請を踏まえ、最後まで粘った結果、重量税の軽減とエコカー減税の3年間の延長という妥協案を獲得したが、中身は燃費性能の要件を従来の2010年燃費基準から2015年燃費基準に厳しくするというもので、恩恵を受けるユーザーは今より限定される。ある自動車業界関係者はエコカー減税の延長で決着することは「最悪の結果」だと話していた。自動車車体課税の簡素化・負担軽減を求めてきた自動車業界の目的達成はまたも遠ざかった形だ。
 自動車業界がユーザーの税負担軽減を強く要望するのには事情がある。所得の伸び悩みあるいは減少により、車ユーザーの担税力は弱まっている。人口の減少も始まり、国内の新車販売の減少に拍車がかかると懸念されるからだ。これに輪をかけて1ドル=70円台という超円高が輸出産業を襲っている。日本の貿易黒字を稼ぎ出してきた自動 車産業では、この超円高により、今期、厳しい事業運営を迫られているのが実態で「タイ洪水より深刻な問題」と日産自動車のカルロス・ゴーン社長も指摘している。
 超円高の長期化により、トヨタ自動車は12月8日に発表した2012年3月期の業績予想で連結営業利益を従来予想の4500億円から2000億円へ2500億円もの大幅な下方修正を行った。個別業績予想では最終損益が800億円の赤字に転落する。トヨタでは雇用維持のため国内で300万台の生産を維持する方針だが、このうちの半分は輸出だ。今後も輸出の採算割れが続けば、生産の海外移転を決断せざるを得ず、国内の雇用維持にマイナスとなる。トヨタの国内生産が減っていけば、部品や素材産業など裾野産業にも影響が及び、リーマンショックから立ち直りかけた景気が再び悪化しかねない。
 とはいえ、すでに生産の海外移転は水面下で進みつつあるのが実態だ。2012年以降は、新型への切り替え時に、国内生産から米国生産に変わるモデルが増える見通しだ。これを補うように、日産やホンダでは国内生産維持のため、国内販売台数を増やす戦略を示している。国内で一定の生産台数がなければ、国内の雇用維持が難しくなり、開発力の低下につながるとの懸念があるからだ。
 車ユーザーの負担感が増せば、新車市場は再び減少の一途を辿る。輸出の減少も追い討ちをかけ、メーカーの生産台数が減れば、国内で培ってきた品質や技術力が低下しかねない。そうなれば欧米メーカーだけでなく、成長著しい新興国メーカーにも追い抜かれることが現実になる。取得税、重量税の廃止は盛り込まれなかったが、自動車業界は来年度以降も引き続き、要望を継続していく必要があるだろう。同時に、メーカー各社は、一段と厳しくなる燃費基準の達成を早めるため開発を急ぐ必要に迫られる。