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「ワゴンR」「セレナ」に新低燃費技術


 ハイブリッド技術やアイドリングストップの改良による燃費向上技術が量販クラスの車にも採用され始めた。スズキは新低燃費技術を開発し、9月に発売する新型「ワゴンR」から搭載する。日産自動車は減速時のエネルギー回生を増やした「S‐ハイブリッド」システムを開発し「セレナ」に搭載して8月に発売した。価格と燃費性能のバランスがとれたシステムとして普及が見込めそうだ。
 スズキがワゴンRから搭載する新低燃費技術は「エネチャージ」と「エコクール」の2つ。ハイブリッドシステムではないものの、車体軽量化やエンジンの摩擦低減などと併せ、軽ワゴン車でクラス最高の28.8km/l(JC08モード)を実現した。
 エネチャージは減速時エネルギーをより多く回生できるよう、オルタネータを大型化するとともに、専用のリチウムイオン電池を装備。貯めた電気を電装品の電力として供給する。発電のためのエンジンの負担を減らし、燃料消費を減らすというものだ。貯めた電力を駆動力には使わないためハイブリッドシステムとは一線を画したシステムだ。

【エネチャージのシステム概要】
 もう一つの新技術、エコクールは信号待ちなどの停止時のアイドリングストップ時間を従来よりも長くすることでエンジンの負担を軽減するシステムだ。エアコンが止まると室内温度がすぐに上昇する夏場、できるだけエンジンの再始動を遅らせることができるように、エアコンのエバポレータ(熱交換器)に蓄冷材のパラフィンを封入した。エアコンが動いている間に蓄冷材は冷えて固まり、アイドリングストップで送風モードになると蓄冷材が溶けることで冷気を出す。同様のシステムはBMWの一部車種のエアコンに採用例があるが、冷気をより長く持続させるため冷媒の通る管をはさむような形でエバポレータに蓄冷材を封入したのは世界で初めてという。

【エコクールのシステム概要】
 スズキは軽自動車にアイドリングストップシステムを採用しているが、さらに燃費を向上させる技術を低コストで実現し、軽の燃費向上を加速させる。
日産自動車は8月1日に新低燃費技術を搭載した新タイプをセレナに設定して発売した。日産は「フーガ」「シーマ」といったFR(後輪駆動)車の高級車向けに1モーター2クラッチ式のフルハイブリッドシステムを搭載している。また、FF(前輪駆動)車用のハイブリッドシステムも系列のトランスミッションメーカ、ジヤトコと共同開発済みだ。ただ、フルハイブリッドシステムはコストが高く、セレナのような量販車には不向きだった。
開発したS―ハイブリッド=スマートシンプルハイブリッドは、現行の「エコモーター式アイドリングストップシステム」をベースに、エコモーターの出力を1kWから1.8kWに増強、エネルギー回生時の発電力も150アンペアから200アンペアに高めた。より大きくなった回生エネルギーを溜めるため、鉛蓄電池のサブバッテリーを備えた。回生エネルギーで溜めた電力を電装品の電力消費に使うことでアイドリングストップの頻度を増やすと同時に、アイドリングストップ時間を延長した。加速時にはエンジンをモーターでアシストして燃料消費を抑える。
【S―ハイブリッドのシステム概要】


日産は同システムやトランスミッションの改良などで燃費を15.2辧JC08モード)と従来比で10%向上しながら、価格をほぼ現行モデル並みに抑えた。日産によると、モーターのみの走行もできるフルハイブリッドシステムは価格が50万円アップ、エンジンアシストがメーンのマイルドハイブリッドの場合は30万円アップになるという。容量の大きなリチウムイオン電池やインバータなどのシステムがコストアップ要因だ。これに対し、S-ハイブリッドシステムはガソリン車同等か、高くても15万円アップにとどめることができるという。利便性と経済性を求めるセレナの購入客にとって選びやすいハイブリッド車と言える。