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円高修正で自動車メーカーの業績が大幅に改善


  自動車メーカーの2013年度業績が大幅に改善しそうだ。生産・販売の増加見込みに加え、為替が急速に円安方向に動き始めたことにより、売上高、利益ともに増加する。 ただ、海外での現地生産化の動きはすでに進んでおり、円安が国内生産の増加と直結するかは不透明だ。
 ホンダが発表した12年度決算によると、営業利益は前期比135.5%増の5448億円と大幅に増加した。前期の2313億円からの増加額3135億円のうち、最も寄与度が高かったのは「売上高の増加・車種構成差」で全体の93%の2934億円だった。東日本大震災やタイ洪水の影響を受けた11年度に比べ、四輪車の世界販売が401万台と24.3%も増えたことが営業利益を大きく引き上げた。
 12年度に対し、13年度は為替の影響が大きく出る。12年度は営業利益の増加要因として、為替変動分が358億円あったが、13年度は為替変動分によるプラス影響が2480億円と7倍に膨らむ。販売費・一般管理費、研究開発費が合計1645億円増えるが、売り上げ増やコストダウン効果もあり、営業利益は前期に比べ43.2%、2351億円増え7800億円に達する見通しだ。
 国内生産に占める輸出の割合が7割と日本での生産比率が高いマツダは、円安の恩恵を特に大きく受ける。
12年度は円安効果もあって、営業利益は539億円と、前期の387億円の赤字から黒字に転換した。前期からの増益額926億円のうち、最も大きかったのは売り上げ台数増とコストダウンで、それぞれ338億円、367億円の増益要因となった。
 13年度は為替変動影響が前期の184億円から560億円と3倍に膨らむ見通しだ。営業利益は前期から661億円増の1200億円を予想しており、台数増・車種構成差による増益分499億円を上回るプラス影響が為替変動で出る。13年度の世界生産は前期比8.1%増の133万5千台を見込んでおり、このうち国内生産は同9.2%増の96万台を計画している。主に輸出向けの生産が増える計画で、為替の円安がプラス影響になる。
 ダイハツ工業も営業利益での円安効果が12年度の55億円から13年度は100億円に増加する。13年度は国内販売が前期比3.2%減の63万4千台を見込む一方、海外は同12.1%増の43万3千台に増える。インドネシアやマレーシアといった海外での販売比率が増加していることで円安がプラスに働く。
 日銀が"異次元"という金融緩和策を4月に発表して以降、円相場はさらに円安方向に動き、1ドル=100円に近づいている。昨年10月時点に比べ2割もの円安に動いたことになる。自動車メーカーもホンダが前期に比べドルで11円の円安の1ドル=95円、ユーロで12円の円安の1ユーロ=120円に設定するなど、一定の円安を業績予想の前提に置いている。
 ただ、自動車メーカーの好調な業績が国内の実体経済にどれ位の好影響をもたらすかはまだわからない。研究開発費の増額などは見込めるが、海外での現地生産化を進めている中で、増産のための設備投資を日本で増やす可能性は低い。1ドル=100円レベルはリーマンショック前に比べれば、まだ円高のレベルにあり、少なくとも今の為替水準では、自動車メーカーが輸出拡大へと方針を転換するインセンティブにはならないだろう。安倍政権の課題である実体経済の成長には生産活動の活性化が必要だが、エネルギー価格の高さなど、解決しなければならない課題はまだ多い。