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この講座で一貫して述べてきたことは、整備サービス業の収益の上げ方について発想を転換しようということである。車検台数を増やし、工賃売上を増やし、それで利益をあげていこうとするこれまでの整備サービス業経営のやり方からそろそろ決別しようではないか、ということである。 |
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作業全体の非効率性にメスを入れる! |
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経営は結局のところ「入り銭」と「出銭」の関係である。「出銭」がいつも「入り銭」より多いならば会社はツブれる。資金繰りの破綻である 。では「入り銭」を増やせるかというとこれが非常に難しい。一般整備は減少、車検単価は低下傾向を考えれば並大抵のことではない。
「入り銭」が増やせられないならば「出銭」を減らさねばならない。だが「出銭」を減らせといっても、やれ昼休みには電気を消せ、代車の燃料費を減らせでは抜本的な改善につながらない。重要なことは、整備サービス業経営の非効率性を徹底して排除する、それによってコスト削減を図ることだ。
一人のお客さんにそのつど、あるいは重複して、受注促進〜受入れ・段取り〜納車〜代金回収〜顧客管理に至る多くのテマをかけている。その一方では工賃単価が低下している。工賃単価の減少が避けられないとしたならば、こうした業務全体の効率化にメスを入れるしかない。 |
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商売は売って喜び、買って喜ぶ |
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たとえば、一般的に粗利益の60%以上を占める人件費をどうするか。社員の給与水準を維持し、かつ労働分配率(人件費÷粗利益)を健全にしていくには、稼働率の向上に尽きる。おそらく60%にも満たない稼働率で利益を出せる業種などない。作業の計画性がたたなければ稼働率の抜本的向上はありえない。そのためにはどうするか、答えはただひとつ。
作業のばら売りからの転換しかない。入庫ごとに作業内容を決め、取替部品を決め、回収業務を行う−そうしたバラ売りから脱却し、年間の定額料金的な契約にもっていくしかない。メンテナンスリースが好い例だ。低額であっても計画整備に寄与するからメリットがあるのではないか。
この講座で述べてきた「資産価値維持のためのメンテナンス」の狙いはここにある。年間に提供するサービス内容が決まっているから、段取りも、アイドルタイムも、回収も不要となる。だから安い料金を提供してもペイできる。お客様もメリットを感じる。
問題は、この年間契約的な特定化顧客を何台もてるかだ。私どもの提案は、まず1000台をめざそうということ。1000台があれば、稼働率を飛躍的に高められるパートを含めた効率的な要員構成ができるからだ。もちろんフリーのお客も、車検だけのお客も拒まない。通常の料金で対応してあげればよいだろう。とにかく計画的整備体制の核になる“特定化顧客”を確実に増やしていくことだ。努力の先が見えるということは楽しいことではないだろうか。そのかわり、軽板金、防錆、査定、中古車販売などの面で新たな人材育成が求められることはいうまでもない。
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自己中心経営の終り |
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一人のお客様に車検だけではなく、用品も車両も保険も売り込むという意味での“総合付加価値販売”は幻想である。なぜなら、お客様はそんなことは少しも歓迎していない。ニーズどころかありがた迷惑でしかない。
これから儲けられる整備サービス業経営とは何か、こう考えていくと結局は整備サービス業の使命とは何かといった理念にぶつかる。理念とは、社会や消費者と価値観を共有するものであり、これからは少なくとも自社の利益だけを考えた経営は終焉(しゅうえん)を迎える。
(完)。 |
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