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  第二回:ISOマネジメントとは?

 ISO(正式にはInternational Organization for Standardization)は日本語では「国際標準化機構」のこと。これは世界共通の「決め事」を制定する機関の名前です。

 1947年に設立され本部はスイスのジュネーブにあります。 日本は1952年に加入して、現在は世界中の約150カ国が加盟しています。

 ここは本来、工業製品の国際規格を制定していたのですが、企業の経営や仕事のやり方(マネジメント)についての国際規格も制定するようになりました。その代表的なものが皆さんも耳にしたことのあるISO9000(通称、品質ISO)やISO14000(通称、環境ISO)です。

ISOのマネジメント規格にはどんな種類があるの?

 最もよく知られているISO9000は、「品質マネジメントシステム」の規格です。 組織の活動が一定のルールに従い、顧客に信頼感と満足を与えているかどうかを評価するためのものです。

 「品質」という言葉が使われていますが、これは販売した車や修理した車などの製品の品質だけを対象にしているのではありません。重要なのは、製品の品質を保証するための「経営の質、業務管理の質」、さらには「顧客に対するサービスの質」であり、これらが問われることになります。

 つぎに有名なISO14000は、「環境マネジメントシステム」の規格です。地球規模での環境問題が話題となっている今日においては、一企業といえども環境問題に無関心ではいられません。組織が環境法規制を遵守して、地域社会や自然環境に配慮した業務活動をしているかを問うのがこの規格です。

 まだ正式に国際規格化はされていませんが、ISO18000「労働安全衛生マネジメントシステム」の制定の動きもあります。これは組織の活動が、労働安全衛生の法規制を遵守し、働く人にとって危険のない安全な職場の管理ができているかを問うものです。

 最近の新しい規格として、ISO27000「情報セキュリティマネジメントシステム」が制定されました。企業のコンピューターに絡んだ情報漏洩の事故をよく耳にするようになりましたね。コンピューターシステムの管理に問題のある会社と取引していると、顧客側の機密情報や個人情報も漏洩する危険性があります。ISO27000は、このような近年の時勢に対応した新しい国際規格です。

 これらの国際規格は、どんな業界にも適用できるマネジメントシステムを取り上げたもので、もちろんカーアフター業界も例外ではありません。さらには、特定の業界向けのマネジメント規格も徐々に制定さてきています。たとえば、自動車製造業においてはISO9000の品質の要求範囲をさらに深く定めたISO16949、食品製造業では衛生管理に焦点を当てたISO22000などがあります。いずれカーアフター業界専用のマネジメント規格も登場するかもしれませんね。

企業は何に目を向けるべきか?

 このような多くのISOマネジメント規格が作られてきた背景は、会社の経営を成り立たせるには外部のさまざまな人や組織との良好な関係を築いていかなければならないという、時代のニーズをあらわしていると言えるでしょう。いいかえれば、単に競争に勝つだけでなく、顧客や社会に価値のある経営をしている企業だけが存続し成長できるという現代流の方程式ができつつあります。

 あなたの会社の周囲にも同じように多くの利害関係者が存在しますよね。その中でも最も大きな存在は顧客でしょう。ISO9000は、おもに顧客からの信頼を得るための経営や業務ができているかの観点から規格が作られていますが、そのためには従業員の能力開発や仕入先や外注業者との良好な関係づくりも必要になってきます。

ISO14000にいたっては、人間社会を取り巻く自然環境にまで目をむけ、社会が持続可能な発展を果たすべき企業の役割として、規格が作られたといえます。

 これからは情報化社会でもあることから、自分の会社の存在意義を外部のすべての利害関係者に適切に情報発信しなければなりません。外から注目している人が増えている分だけ、会社の経営に求められる領域も広くなってきているということですね。


 

共通のキーワードPDCA

 ISOマネジメントに共通のキーワードは、PDCAの繰り返しによる継続的な改善活動です。PDCAはご存知の方もいると思いますが、P(Plan=計画)、D(Do=実行)、C(Check=確認)、A(Action=処置)のサイクルを仕事の流れに当てはめる管理のやり方です。

 まず、仕事に着手する前には「計画=Plan」を立てなければなりません。経営トップは会社の経営計画、管理者には部門やグループの業務計画、個々の担当者には日々の活動計画などが必要ですね。特に新しい仕事を始めるにあたっては、目標を立てたり仕事の段取りや手順をはっきりさせます。

 必要な場合は文書にしてみんなの意思統一をしなければ、思ったとおりに仕事は進みません。これらはすべて「計画づくり」です。

 そして、立てた計画に沿って仕事を進める「実行=Do」の段階になります。すべてが計画通りに実行できればいいのですが、多くの場合は途中でさまざまな問題が発生します。だから仕事のやり方を変える、人や設備を追加する、または立てた計画そのものを見直すことも必要になるかもしれません。

 そのために、確実な「確認=Check」や「処置=Action」が、会社の管理には不可欠です。計画通りに業務が進んだどうか、立てた目標が達成できたかどうかについて、それぞれの仕事の成果を評価します。発生した問題に対しては、原因を深く追求して再発防止策をしなければなりません。

 このように、PDCAサイクルによる継続的な改善活動は、組織の目標レベルと経営能力を高め、それが顧客や内外の人々の信頼を得ることにつながります。


   

アイエル経営診断事務所 代表
板 賀 伸 行
経営コンサルタント(中小企業診断士)
ISO/QMS 主任審査員

過去に大手自動車会社において海外各国の自動車開発・生産プロジェクトを担当。その後、コンサルティング会社等を経てアイエル経営診断事務所を設立、中小企業の経営支援を開始。国や地域の中小企業支援センターのアドバイザーも務める。
経営資源の少ない小規模事業者のビジョン実現をサポートできる今の仕事に生き甲斐を感じています!
趣味はアウトドア系なら何でも関心があり、毎年新しいチャレンジ(冒険?)をしています!