Motown21トップ経営のツボ >経営講座

  第6回 ISO9001(その2) - 「紙にも重みがあります」


本日は皆さんの会社で使っているいろいろな文書の管理についての話題をお届けします。
まず、ISO的に文書の種類を大別すると次の3つがあることを理解してください。

ー蟒臀駑
業務運営や仕事の手順を定めたのもので、文章表現に加えてイラスト・写真などを含めて作成することがある。
呼ばれ方の例としては、○○マニュアル、○○管理規定、○○作業標準書、○○指示書 など
帳票類(様式)
紙1枚程度のものに記入様式をあらかじめ定めているもの。
例えば、見積書・契約書の様式、検査成績表の様式、チェックリスト など
5録
上記の帳票を実際に記入したもので、顧客や社内の人に渡したり、一定期間保存するもの。
つまり、作成された見積書・契約書、作成された検査成績表、記入されたチェックリストなどこの他に、帳票になっていなくても、個人のノートなどのメモも記録となります。
 数えてみてください。皆さんの会社には何種類くらいの文書がありますか? 所轄官庁や業界団体によって定められて、皆さんの会社で使っている手順書や帳票類もあることでしょう。
文書の価値はもちろん会社のビジネスの種類によって異なります。日々の繰り返し作業によって、均一な品質を保証しなければならない会社には、作業標準書などはとても大切ですね。また、他にない独自のノウハウを持った会社には、そのノウハウを共有するための文書化されたマニュアルは会社の財産になります。
情報が資源と言われて久しい時代ですから、文書の種類と数がその会社の経営能力や業務水準を表しているといっても過言ではありません。

ISO9001では、文書を経営上の大事な道具と位置づけ、大切に管理することを求めています。具体的には次のようなことです。
  ・発行前に内容が適切であるかを確認して、しかるべき方法で承認すること
  ・文書が変更された場合は、旧版・最新版などの識別をすること
  ・いつも適切な版の文書が、必要なときに、必要なところで使用できていること
  ・社外から受け取った文書は、配布などの管理を確実にすること
加えて、文書の中でも「記録」に関しては、保管、保護、検索、保管期限、および廃棄について必要なルールを定めて管理するように求めています。

文書は適宜見直しされて変更されることを前提として考えられています。例えば、法律や制度の変更、顧客の要求や注文内容の変更などに応じて、社内にある関連する文書は変更されなければなりません。社内の仕事のやり方を示した業務手順書などについては、日々の業務改善によって変更されるべきです。何年も変更されない手順書があるとするならば、それは使われていないことと同じだからです。

ISOでの文書の定義には、紙の媒体ばかりでなく、コンピューターの電子データも含まれます。皆さんの多くの会社でもコンピューターが使われていると思いますが、電子データになっている文書が適切に管理されていないと、会社の機密情報が漏洩したり、顧客の個人情報が流出するなどの事故を招くことになりますので、特別な管理をする必要があります。(このため、情報システムのセキュリティを定めたISO27001という規格も存在しますが、これについては別の機会に触れます。)

記録は品質保証の証

文書の中でも「記録」は会社や個人が活動をした結果を示すもので、ISOの認証審査においても会社の仕組みが運用されている証拠となります。先にあげたように、記録には例えば、お客様に関連する見積書や契約書、あるいは検査成績表などがありますが、これらがきちんと作成されていれば、業務を適切に行った証拠になりますね。
これらの大切な記録は、一定期間きちんと保存する必要があります。種類別にファイルに分類し、所定の書棚や書庫に保管して、必要な際はいつでも取り出せるようにしましょう。保管期限の年月をどれくらいにするかは社内で定めればいいですが、下請法や製造物責任法などの法的要件で規定される場合もありますので注意しましょう。

まずやるべきこと

「うちの会社はいつも書類が散乱している」、「どんな文書がどこで使われているのかわからない」といった問題を感じているとすれば、まずできることから始めましょう。文書管理の担当者を決めて、図2-1に示したような文書管理のための台帳を作成することをお勧めします。今ある文書を洗い出して、まずは名称だけをこの台帳に登録してみてください。そしてそれぞれの管理項目を決めていきましょう。さらに、こんな文書があればいいと感じるなど、不足している文書はどんなものかも話し合いましょう。
文書管理は地味な管理ですが、マネジメントの基礎となりますので、着実に行ってください。

     
アイエル経営診断事務所 代表
板 賀 伸 行
経営コンサルタント(中小企業診断士)
ISO/QMS 主任審査員

過去に大手自動車会社において海外各国の自動車開発・生産プロジェクトを担当。その後、コンサルティング会社等を経てアイエル経営診断事務所を設立、中小企業の経営支援を開始。国や地域の中小企業支援センターのアドバイザーも務める。
経営資源の少ない小規模事業者のビジョン実現をサポートできる今の仕事に生き甲斐を感じています!
趣味はアウトドア系なら何でも関心があり、毎年新しいチャレンジ(冒険?)をしています!