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  第13回 ISO9001(その9) - 「日常業務での大事な管理」

 今回は、ISO9001規格の「第7章:製品実現」の大きな部分である「製造及びサービス提供」についてお届けします。
 皆さんの会社が、サービス工場のなどの現場を持っている場合は、普段の業務にかかわる大切なポイントを網羅していますので、現在の業務と照らし合わせてじっくりと読み進めてください。また、工場業務以外でも、顧客サービスを提供するすべての業務に関連する要求がありますので、皆さんの仕事にどの管理を当てはめるべきかを考えてみてください。

製造及びサービス提供の管理

 製造やサービス提供にあたっては、あらかじめ計画を立ててきちんと「管理された状態」で実行することが要求されます。この「管理された状態」とは以下のような事をさしますので、皆さんの職場や仕事ではどれが必要かを考えてみましょう。
製品の特性を述べた情報が利用できる(例えば、図面、製品の仕様書、検査標準など)
作業手順が利用できる(作業手順があることではなく、利用できる状態で備え付けられていること)
適切な設備の使用(まず適切な設備とは、何がどんな状態であるべきかを決めましょう)
監視機器及び測定機器が利用でき、使用している(後述の「監視機器及び測定機器の管理」を参照)
決められた監視・測定が実施されている(製品の検査やサービスの検証を漏れなくすることです)
顧客への引渡しと、引渡し後の活動が決められたとおりに実施されている(引き渡し後の活動とは、保守・点検などのアフターサービスや保証業務などであり、これらがきちんとなされていることです)

プロセスの妥当性確認

 普通の製品の場合、次工程や顧客に引渡す前には検査などで品質確認をしますが、場合によっては検査での品質確認が不可能なものもあります。例えば食品加工工場では、製品に食中毒を起こすような有害細菌が存在してはなりませんが、これは製品検査で即時に判断することはできません。細菌を培養するによって判定ができますが、結果を得るには数日かかってしまいます。このため、毎回の製品検査をするのではなく、製造工程にある殺菌工程(重要プロセス)を管理することにより、製品の品質を保証しています。
 この様な重要プロセスに対しては、そのプロセスを管理する条件、使用する設備の条件、作業する人の条件、適用する手順、保存する記録、などを厳密に取り決めて実施する必要があります。
 整備工場においても、溶接作業などの特殊作業が伴う場合があります。製品の検査による品質判定が困難なもの(溶接強度など)に対しては、作業プロセスの管理の方法を厳密に決めて実施する必要があります。

識別及びトレーサビリティ

 まず「識別」とは、すべての製品が何であるかを明確に判断できることです。当たり前のことですが、ビジネスの商流においては、どこで作られたどんな製品か、そしてどこの顧客に行き渡るかを、必要な流通段階(製造業者、中間流通業者、小売店)で明確にされていなければなりません。ひとつの会社の工場や倉庫内においても同様に、使用材料や部品、完成製品の区別を明確にした管理をする必要があります。
 また「トレーサビリティ」とは“追跡可能なこと”であり、記録で残した情報などによって、製品の素性や所在をたどれることをいいます。
 トレーサビリティを管理する目的の一つは、市場や顧客に引渡した後に不具合などの問題が起きた場合、その問題の出所や原因を追及するためです。このためには、製品のどの部位にどんな材料が使われたか、誰が作業を行ったかなど、自社の製品・サービスを細かく識別できる情報を記録として保管することです。そうすれば、後で何かあったときに検索ができ、原因調査も可能です。
 トレーサビリティのもう一つの目的は、例えばリコール時の対応など、どこに出荷したか、どの顧客に引き渡したかの現在の所在がたどれることです。顧客情報の取得と管理も必要なのです。
 製品によっては、製造メーカが自社製品に製造番号を明示して、製造の履歴をたどれるようにしています。(自動車メーカが車体にフレーム番号を刻印しているものそのためです。) 販売店においては、それぞれの顧客に対して販売した製品・サービスの明細を管理するする必要があります。

顧客の所有物

 顧客からの所有物や支給品については特別な管理を施すことが要求されています。皆さんの会社が修理工場であれば、お客様の所有物をいつも扱っていることになりますね。
 提供された顧客の所有物は識別し、損傷を与えないように保護・防護をする必要があります。当たり前のことですが、顧客の所有物を紛失、損傷した、あるいは使用に適さないとわかった場合には、顧客に報告し、かつ状況の記録を残すことが要求されています。

製品の保存

 皆さんの会社で取り扱っている製品を、損傷や劣化から保護することを目的に、保存の条件や取扱い方などを、組織で決めてルール化することが重要です。特に、倉庫を持っていて製品を保管している会社にとっては、より重要です。 これは、特定の顧客や指定納品先へ引渡すための完成製品のみならず、製品を構成する要素(部品や材料など)も、管理の対象に含まれます。

アイエル経営診断事務所 代表
板 賀 伸 行
経営コンサルタント(中小企業診断士)
ISO/QMS 主任審査員

過去に大手自動車会社において海外各国の自動車開発・生産プロジェクトを担当。その後、コンサルティング会社等を経てアイエル経営診断事務所を設立、中小企業の経営支援を開始。国や地域の中小企業支援センターのアドバイザーも務める。
経営資源の少ない小規模事業者のビジョン実現をサポートできる今の仕事に生き甲斐を感じています!
趣味はアウトドア系なら何でも関心があり、毎年新しいチャレンジ(冒険?)をしています!