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  第14回 ISO9001(その10) - 「品質を評価する」

 今回は、製品やサービスの品質を評価する重要な活動に関わる管理についてです。
 対応するISO9001規格は、「第8章:測定、分析及び改善」のなかにある「製品の監視及び測定」と「不適合製品の管理」です。さらに「第7章:製品実現」にもどって、そのなかの「監視機器及び測定機器の管理」も関連事項として取り上げます。
 皆さんの会社では、お客様に提供する製品やサービスを取り扱っていますので、引き渡すまでの必要な段階で、必ず品質確認を行っていますね。工場などでは、試験、検査、点検などと言われる活動です。またその時に、要求される品質に満たない問題や不良が発見された場合、それらを「不適合」と呼んでいます。この言葉は覚えておいてください。

製品の試験・検査

 製品の試験・検査試験や検査とは、製品の品質特性を評価する活動のことです。これは、自社から製品を出荷する以前、もしくは顧客に製品を引き渡す前には必ず実施する(これらを最終検査といいます)必要があります。社内の業務に限っても、業務が段階的に行われている場合は、自分(または自工程・自部署)が仕事を終えた後に、次の人(または次の工程・次の部署)に引き渡しをします。その際には、自分(自工程・自部署)の品質に対する責任がきちんと満たされているかどうかを、試験・検査などによって判定しなければなりません。
 ISO9001規格で要求されている大事な点は、それらの試験・検査の結果が、要求された基準を満たしている証拠を記録によって維持することです。また、社内の次の工程や顧客への引き渡し、もしくは出荷を判定(許可)した人を明記しなければなりません。

 このような品質適合性に関する記録の維持は、製造物責任法やその他の法的要件によって必要になることもありますので、確実に行いましょう。皆さんの会社においては、どのような種類の試験・検査を行うべきかを明確にして、それぞれに対応した記録用紙をそろえるようにしましょう。
 記録がしっかり保存されていれば、顧客や市場から予期しないクレームが発生した場合にも、その原因を調査する手がかりとなります。 場合によっては、自社の正当性を証明できる根拠となり得ることもあります。

不適合製品の管理

 前述の試験・検査などによって、品質基準を満たさないものが発生すれば、それらを不適合製品と呼んでいます。このような不適合製品が、誤って使用されたり、顧客へ引き渡されるとことがないよう、不適合製品は識別して管理しなければなりません。また、ISO9001規格では、不適合製品の処理と管理のしかたを、文書化することを求めています。

 不適合製品が発生した場合には、次のいずれかの方法で処理をします。

手直し、修正、選別などによって、発見された不適合を除去する。(本来のあるべき処理です。)
廃棄や用途変更などによって、本来の目的の使用ができないようにする。(これはやむを得ない場合です。)
しかるべき人に許可を得て、特別採用として使用する。(イレギュラーなケースです。しかるべき人とは、顧客もしくは社内の品質責任者などです。)

 いずれの場合においても、不適合の性質と採られた処置についての記録を残しておく必要があります。

 また、自社の製品が市場や顧客に引き渡され、使用開始した後に不適合が発覚された場合には、その不適合による影響の大きさを十分に考慮して、適切な処置をとることが極めて重要です。
 例えば、ある自動車メーカーでは、自社製品に対する品質問題については、重大さに応じた対応方法をとっています。軽度の問題については、顧客からのクレームがあった場合に限り、無償で修理します。中適度になると、信用低下を防ぐために、対象車種が販売店の修理工場に入ってきた場合、顧客の依頼がなくてもすべての車両に対して無償修理を施します。安全性に欠陥があるなど、ユーザーの身体に危害が及ぶような最も重度なものについては、顧客に通知して回収(リコール)を行って処置することになります。

計測機器の管理

 皆さんの会社が製造工場や修理工場の場合、製品を測定したり工程を監視するための計測機器を使用しているはずです。この中には、ノギスのような汎用的な測定具もあれば、動力測定などに使われる大型で専用の試験・検査機器もあるでしょう。また、工程や設備の状況を監視しているモニター装置などもあるかもしれません。
 まずは“製品の品質を判定する”ことを目的として使われている機器類を明確にする必要があります。工場内で保有している計測機器を、一覧にして台帳に登録することをお薦めします。これらの計測機器は精度が保証されていて、いつも正しい測定値が得られるようにしておかなければなりません。そのために、登録台帳に必要な校正や検証のルールを明示し、かつ校正や検証を実施した記録も残すようにするといいでしょう。
 特に注意したいのは、国際または国家計量標準にトレースできる計量標準に照らして、校正や検証をすることです。経済産業大臣指定機関のもとの“認定事業者”に校正・検証を依頼すれば、国家計量標準までのトレースが保証されます。社内で検証する場合は、検証に用いた原器(基準ゲージなど)を、認定事業者へ定期的に校正・検証依頼をするとよいでしょう。さらに、校正の状態を明確に識別する要求もありますので、機器現物に有効期限または次回の校正日の表示をしておきましょう。
 また万一、測定機器の精度不良などを発見した場合、過去にさかのぼって、その測定機器で測った結果が問題ないかを確認する必要があります。 この様な事態があった場合には、影響を受けた製品に対して適切な処置をする必要があります。

アイエル経営診断事務所 代表
板 賀 伸 行
経営コンサルタント(中小企業診断士)
ISO/QMS 主任審査員

過去に大手自動車会社において海外各国の自動車開発・生産プロジェクトを担当。その後、コンサルティング会社等を経てアイエル経営診断事務所を設立、中小企業の経営支援を開始。国や地域の中小企業支援センターのアドバイザーも務める。
経営資源の少ない小規模事業者のビジョン実現をサポートできる今の仕事に生き甲斐を感じています!
趣味はアウトドア系なら何でも関心があり、毎年新しいチャレンジ(冒険?)をしています!