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 第15回 ISO9001(その11) - 「内部監査をしてみて発見!」

 今回は、ISOらしい活動の一つである内部監査についてです。対応するISO9001規格は、「第8章:測定、分析及び改善」のなかにある「8.2.2内部監査」です。
 「監査」いう言葉を聞くと何か堅苦しさをイメージしてしまいますが、内部監査は巷の監査とはちょっと性質が異なります。やってみると意外な効果もあるようです。これまで知らなかった組織の新たな一面を発見することもありえるからです。

監査の種類と目的

 監査の種類には3つあります。組織と直接の利害関係のない独立した立場の者が行うことを、第三者監査と言います。行政機関による監査などがそれですね。ISOの認証審査も第三者監査に相当します。
 また、その組織の顧客が、製品やサービスを購入する立場から利害関係のもとに監査を行うことを、第二者監査と言います。おもに顧客が大手企業である取引関係において、よく見られるものです。
 ところが内部監査は、あくまで自組織の中で行なうため、第一者監査ということになります。皆さんの会社では、どんな性質のものであれ第三者監査、または第二者監査は受けた経験があるかもしれません。しかし第一者監査(内部監査)は、ISOを取り入れていない限り自主的に行っているという組織は滅多にないでしょう。だから特殊な活動と思われるかも知れませんが、ISO9001では内部監査を次の観点から実施することを定めています。

 ・組織内で立てた計画や定めた規則に従って業務が
  適切に行なわれているか
 ・それらの業務が効果的に行われ、維持されているか

 そして内部監査を通して問題点が見つかれば、それを対処して業務の仕組みを見直します。つまり会社の中において、異なる立場の人が業務内容をお互いにチェックしあうことで、担当以外の人にも仕事のやり方を見てもらい、組織内の透明性を良くする狙いがあるといえます。
 最近は企業の不祥事のニュースをよく耳にしますが、そんな企業でもし内部監査をしっかりやっていたとすれば、早期に社内で問題を発見し解決することができたため、社会を巻き込んだ騒動には発展しなかったかも知れませんね。

内部監査の手順

 ISO9001では、内部監査を「文書化された手順」にて定めることを要求しています。一般的に、推進・まとめ役となる管理責任者を定めて、次のような手順で実施します。

‘睇監査の計画をする
 どの領域(部門)を、いつ、誰が、どのように監査するかを、約1年程度にわたって計画書を作ってみるといいでしょう。監査対象の領域(部門)を選ぶときは、なるべく社内全体をカバーできるにしましょう。また、それぞれの領域の業務管理の現状レベルや品質に与える重要性などから考えて、監査の優先度や頻度を決めるといいでしょう。
 誰が監査するかを決めるにあたっては、事前に監査員として適切な人を人選するか、もしくは教育によって養成しておかなければなりません。外部の専門コンサルタントに依頼すれば、監査員の養成教育を行ってくれる場合がありますので、そのようなサービスを利用するといいでしょう。
 そして、選ばれた監査員は、監査を行う領域(部門)で行われている業務をあらかじめ学習しておいて、どんなことを重点にチェックするかを想定しておくといいでしょう。一般的に監査員は、業務マニュアルを読んで、チェックリストを作って監査の準備をすることになります。

内部監査を実施する
 監査員は監査対象部門に行って、そこの責任者や担当者にインタビューをしながら監査を進めます。インタビューは仕事の順序・流れに沿って質問をしてゆき、とくに事前に用意したチェックリストにあげた重要項目は詳しく聞いて調べるといいでしょう。
 ここでのポイントは、聞いた事だけで善し悪しを判断するのではなく、現在の行われている現場の仕事をよく観察して問題点を発見することです。もう一つは、過去に行われた仕事の適切性を評価することです。そのためには、書面で残されたさまざまな「記録」を確認することが、とても大切です。

F睇監査の結果とフォロー
 各監査員は、監査の結果をレポートにまとめます。発見した問題点については、監査対象領域の責任者と話し合って処置方法とその期限を決定します。処置が行われた時点においては、再度その状況を確認して処置が効果的であるかを判断します。管理責任者は、これら一連の内部監査の結果を、経営トップに報告することになります。
 本シリーズの第7回(経営者の果たすべき責任とは)において、「マネジメントレビュー」という経営改善のための会議を紹介しました。このマネジメントレビューのなかで内部監査の結果を話し合うことにより、業務のあり方の根本的な改善、さらに今後の内部監査の計画作成などに反映することが必要です。

内部監査の効果

 内部監査は業務上の問題点見つけて是正し、業務運営を適切に維持することが目的です。しかし、監査をする側とされる側が敵対的な感情を持っていては、そもそも組織活動としては成り立ちません。監査で問題が発見されても、その当事者が悪いのではなく、その様な事態を発生させる業務の仕組みに欠陥があるということを、みんなが理解しておかなければなりません。よって監査員も、「人」を監査するのではなく組織の「システム」を監査することを心がけましょう。
 内部監査を効果的に実施するには、監査をする側とされる側が協力し合って進めることです。また監査での指摘事項は「とがめる」ためのものであってはならず、「改善の機会」として前向きにとらえることです。そしてお互いが業務改善を目指している活動であることを、十分に認識しましょう。

 ある会社は、いくつかの独立した事業を行っており、部署間のコミュニケーションが決定的に不足していました。この会社で内部監査を行ったところ、監査者からは相手の部署の仕事知る上でのとても貴重な体験だったとの感想がありました。そして相手の部署の優れていることは賞賛して学び取り、また苦労していることには同情を寄せて一緒に考えるようになりました。それによって、社内の人々の協力関係が築かれたことは言うまでもありません。

アイエル経営診断事務所 代表
板 賀 伸 行
経営コンサルタント(中小企業診断士)
ISO/QMS 主任審査員

過去に大手自動車会社において海外各国の自動車開発・生産プロジェクトを担当。その後、コンサルティング会社等を経てアイエル経営診断事務所を設立、中小企業の経営支援を開始。国や地域の中小企業支援センターのアドバイザーも務める。
経営資源の少ない小規模事業者のビジョン実現をサポートできる今の仕事に生き甲斐を感じています!
趣味はアウトドア系なら何でも関心があり、毎年新しいチャレンジ(冒険?)をしています!