さあ、第4回目の「人を活かす・育てる」ではいよいよ人の育成について、佳境に入っていきたいと思います。
前回は新卒採用の事例を紹介しながら、時代の変遷と共に移り変わる学生の気質に触れ、せっかく入社してもすぐ辞めちゃったり、こちらが思案の挙句良かれと思って、決めた配属先を簡単に蹴っちゃったりで、それはやりたい放題勝手気ままとは正にこのことです。
私が新入社員の時代は有効求人倍率が過去最低の頃でしたから、江戸時代の丁稚奉公ではないかとも思わせる、それは々難行苦行の毎日でした。私たちの時代(と勝手に仲間を増やして数で勝負しますが)でも、そりゃ仕事に何も不安や不満がないとか、夢も希望もないといったことはなく、高度成長期も終わり、オイルショックが何度もやってきて先行き不安定な時代ではありましたけれど、それなりに自分の仕事や将来のキャリアプランは漠然と考えていたように思います。
時代が時代といってしまえばそれまでですが、内定を辞退するとか、入社してすぐ転職を考えるとか、人事の偉い人が面談して、さらに適性検査などもやって決定した配属先を自分に合わないから代えてくれとか、やっぱりあっちが良かったとか恐れ多くて口が裂けても言えなかったでしょうね。我慢するとか、辛抱するとか絶えることの美学がどうとかという問題ではなく、発想すらなかったと思います。
つまり、「自己主張」と「我がまま」とを履き違えている気がしてなりません。が、それを「我がまま」と一蹴するわけには行かないのが現在のリクルート事情であり、育成の基本スタンスなのです。今までの企業が持っている採用の基準や、仕事に対する姿勢を引きずっていたのでは、優秀な素材を採用することもままならないし、採用後もいとも簡単に退職届を出して転職してしまうのが現在なのです。こと、採用と育成においては「我がまま」の解釈を変えることが必要なのです。 |
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