光陰矢の如しと申しますか、月日の経つのは早いもので、この連載をスタートして早5回目。あっと言う間に最終回となってしまいました。前回は人にはそれぞれ成長欲求があり、人財育成はそれをサポートする仕組みやツールでなければならん・・・といった類のことを書きましたが、じゃ、何をどのくらい伸ばせばいいのか?といった疑問が生じます。
「コンピテンシー(行動特性)」という言葉がありまして、最近(といってもここ10年くらいでしょうか?)さかんに企業の人財育成の指標として便利に使われるようになってきています。もともとはアメリカの外交官試験で、優秀な成績で任官試験をパスしたのと、やっとパスしたようなできの悪いのが、いざ外交官になって海外に赴任してみるとその評価はまったく逆転してしまい、その理由を突き止めようとしたところから研究が始まったと言われています。つまりどんなにペーパーテストができても実務にはつながらないといった、まあ今では当たり前の常識が当時はさっぱり理由がわからず、何人もの研究者がよってたかって追跡調査をしたという記録が残っています。
この事例では外国語がペラペラで優秀な人が海外でちっともコミュニケーションが取れず、現地の人とトラブルばかり起こしている事例と、まったく言葉が通じないのに不思議と環境に解けこんでしまう人との比較でした。コミュニケーションの本質は言葉ではなかったんですね。
ペーパーテストや口頭試問などの学力テストを頭から否定する気は毛頭ないのですが、それが実務にまったく役に立たないとなるとしゃくに障ります。要は、それを実際の仕事に活かすことのできるエネルギー、車に例えればエンジンを持っているかどうかということですね。よく能力の三要素などと言って、「マインド」「スキル」「知識」を挙げますが、これを単に頭で理解しているだけなのか、それを実際に使えているかどうかといった指標が必要ですが、コンピテンシーの概念はさらに「成果を出す」ことにそのゴールを置いています。つまりどんなに優れている人も、宝の持ち腐れでは評価はされません。
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