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   【人を活かす人事・労務】
Vol
『契約社員から正社員へ
登用した場合の退職金の算定』 

 

 

 少子高齢化の進展に伴って、人口の減少が05年から現実となっています。人口減少がもたらすことは二つです。一つは市場が縮小することです。自販連のディーラービジョンによる新車販売予測値も人口の変化をベースにして求めています。もう一つは、労働力の減少です。労働力人口といわれる15歳以上64歳以下の人口は、右記のグラフのとおり、2005年と2020年を比べると、実に10,787千人も減少します。年に平均約72万人も減る計算です。特にサービス産業においては、売上に直結する直接員(サービスを直接的に担当する社員)の確保が困難になってくると予想されます。
 ご承知の通り、整備や販売の場面では、サービスマンや営業マンがいなくては、売上を上げることはできません。その面で、労働力不足はとても深刻です。
 その対策として、高齢者再雇用制度などが設けられていますが、これは、60歳で定年退職した社員を、65歳程度まで再雇用する制度です。今までの経験を生かことができるために、本人にとっても、会社にとっても大いに活用すべき制度です。
 また、契約社員やパート社員など、いわゆる非正規社員を「正社員」に登用する動きも良く目にするようになってきています。ユニクロでは、5千人の正社員化を発表していますし、キャノンや吉野家などでも同様の動きをしています。この動きは、大手企業を中心に今後は、中小企業にも波及してくることは間違いないところです。
 能力がある非正規社員であれば、正社員化して取り込み、その能力を大いに発揮してもらって、会社へより多く貢献してもらう狙いです。
そうした動きに対応できるように、企業においては人事及び労務面の基盤整備が必要になってきています。就業規則の労働条件等の見直し、賃金などの待遇面の見直しなどがそれにあたります。その中で、退職金の扱いにつても検討が必要です。

《非正規社員から正社員になった場合の退職金規程の見直し》
■ 中小企業においても優秀な社員確保のため、契約社員やパート社員などの非正規社員から正社員へ登用するケースが、今後ますます増えてくるものと予想されます。その際、退職金の支給対象者の範囲など、現行の就業規則や退職金規程の内容でよいのか、再確認をしておく必要があります。

《見直しのポイント》
1.
たとえば、正社員のみに退職金を支給する規定の場合には、念のため、「契約(パート)社員等から正社員になった場合は、契約(パート)社員等として就労していた期間は、勤続年数に算入しない。」旨、就業規則や退職金規程に定めておくとよいでしょう。
2.
就業規則や退職金規程で、非正規社員が退職金の支給対象外とされているときには、退職金算定の基礎となる勤続年数の始期は、非正規社員として採用された日ではなく、正社員となった日から起算します。
3.
労働基準法上では、会社の方針で正社員に退職金を支払うか否かは自由に決めることができます。ただし、退職金制度を設け支払うと決めた場合には、就業規則に記載しなければなりません。(相対的必要記載事項)
退職金は、賞与と同様、社員の関心もかなり高く、人事・労務管理上、重要な事項でもあります。また、改正パート労働法が施行され、正社員との均等待遇の確保措置や正社員への転換推進措置が義務付けされるなど、多様な働き方の中でも公平な処遇ルールが求められるようになってきています。
4.
退職金規程を定めるにあたっては、会社の実情に応じて、特に、支給対象者の範囲は正社員のみなのか、契約社員、パート社員、嘱託社員等非正規社員の扱いをどうするのか。また、支給基準(計算式や計算係数等)、支払時期および不支給や減額事由等について、その内容を明確に記載することが必要です。
5.
多くの会社では、退職金を勤続年数と退職時の基本給を基礎にして、これに退職事由に応じた係数をかけて算定する方法などが採用されています。この場合、勤続年数の起算日はいつからか、勤続年数を何年以上で支給するのか、また、休職や出向の期間は勤続年数に含めるのか否かなど、明確に定めておく必要があります。


かのう社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 狩野 一雄



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