企業一般に対する管理監督者の判断基準ついては、労基法41条2号を受けて昭和22年9月に最初の通達が出され、その後、この通達の判断方針を確認した上で再度、昭和63年3月に通達が出されています。
これら二つの行政通達、特に63年通達前文では、「監督又は管理の地位にある者の範囲」について、「一般的には、部長、工場長等労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである。」としています。
その上で管理監督者に該当するか具体的な判断をする際の考え方を、要約すると次のようになります。
1. |
原則 |
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企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者が、すべて例外が認められる管理監督者に該当するものではないこと。 |
2. |
労基法41条の適用除外の趣旨 |
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労働時間、休憩、休日等の法律の規制する枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限って、法41条による適用の除外が認められること。 |
3. |
実態に基づく判断 |
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企業が職務の権限等に応じた職位と経験、能力に基づく資格等によって人事管理を行っている場合、管理監督者の範囲を決めるにあたっては、かかる資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があること。 |
4. |
待遇に対する留意 |
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定期給与である基本給、役付手当や賞与等において、その地位にふさわしい待遇がなされているかどうかについて留意する必要があること。なお、一般労働者に比べ優遇処置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではないこと。 |
5. |
スタッフ職の取り扱い |
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スタッフ職の場合で、経営上の重要事項に関する本社の企画、調査等の部門に配置され、管理監督者と同格以上に位置付けられるなど、相当程度の処遇を受けている場合、一定の範囲の者については、法41条2号該当者に含めて取り扱うことが妥当であると考えられること。 |
以上のような条件に該当するかどうか、個々の企業において一律に判断することは、中々むずかしいところがありますが、管理職をして管理監督者であるためには、これらの考え方を総合的に判断することが必要です。 |