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Vol.9  請求書へのメッセージ


 皆様こんにちは。「検査員ヒデ」でございます。2008年3月も終わり、新年度ですね。
 皆様は今年の3月実績はいかがでしたか?当社では、前年対比を何とか超えたいと思うのですが、中々超えないですね。前年対比98%でした。超えそうで、超えなかったです。しかし、2年前の対比は超えましたね。調べた結果なのですが前年度は、当社の対象台数が多かったみたいですね。
 しかしながら、1台単価を見てみると全体的に徐々に上がっているみたいです。これも全体的に考えてみると当社の場合、2年前又は2台目の検査のお客様のリピート率が70%を超えている事で、年式が少し古くなった事が考えられます。予防整備率((追加整備)予防整備率とは、車検点検後、車検不適合や整備が必要でお客様に了解を頂いた整備の割合)も前年対比アップ、2年前からもアップとなっていました。
 皆様も、前年度、2年前、3年前のデーターと照らし合わせて何が伸びて、何が落ち込んでいるのか?しっかりと現状を踏まえて、何を行うことが良さそうなのか?どの部門を伸ばし利益を上げていくのか?検討が必要ですね。

 毎年そうなのですが、3月はバタバタの毎日で、バタバタの時こそ一台一台をきちっと確認をしないといけないですね。また、バタバタの毎日でミスやクレームなどが発生しないようにしなければなりません。
そこで、皆様にご提案をさせて頂こうと思うのは、お客様の一台一台に対して車検や、点検、一般整備で入庫をした時や納車の時に、お車の情報をお伝えする事、また今後の整備内容などについてメッセージの作成をされてはどうでしょうか?

 例えば、車検で入庫したとします。もちろん車検をするわけですから、保安基準に満たない場合は必ず修理が必要になると思います。しかし、予防的に整備が必要な部分について何処までするのか迷われるケースが多いのではないでしょうか?もちろん自分も検査員をしておりますので、お客様からお預かりして何処までするのか迷います。しかも、お客様からは「安くしておいてよ。」なんて聞いていたら、悩みますね。

 こう言った場合は、自社では、記録簿や請求書や見積書の中にメッセージを書くようにしております。国土交通省からは、「記録簿のメッセージ欄にわかり易く記入する。」となっていますが、今まで自分もしておりましたが、お客様のお車を拝見していると記録簿のメッセージ欄に書き切れない場合も良くあり、また記入していないメッセージ以外の部分で問題が起きたりします。

 実際、お客様は記録簿を拝見されている方が少ないのが現状と思われますので、実際に目を通される「請求書」や「見積書」などを活用して、メッセージを書いています。お車を見せて頂いて整備士ならば、保安基準以外に予防的に整備が必要な箇所や今後整備が必要になりそうな箇所の判断がつくと思います。

 これをわかり易く、お客様に情報として伝えることによって、今後の入庫促進に役立ててはどうでしょうか。また管理することによってお客様の車両を随時見ていく事が出来るのではないでしょうか?

 しかし、コメントを作成するにも気をつけなければならない点があります。検査の保安基準が不適合な意味合いとして取られるようなコメントは避けるようにしなければなりません。また、お客様が不安を煽るような言葉使いや、判断があやふやなコメントも避けなければなりません。

保安基準に不適合な言葉は、

部  位

適  合

不適合

ブレーキ系

オイル

汚れ

滲み、溜まり、漏れ、破れ、破裂

パッド

少なく、少なめ、○○キロ交換目安、

○○月後交換目安

無い、割れ、

エンジン系

オイル・本体

滲み、溜まり、小さな異音

漏れ、破れ、異音

燃料系

劣化、

滲み、溜まり、漏れ、戻らない、ヒビ、損傷

ベアリング系

弱り、滲み、

ガタ、破損、漏れ

冷却系

滲み、弱り、少量の錆、薄い、劣化

溜まり、漏れ、錆、穴、破裂

吸排気系

汚れ、腐食

詰まり、破れ、漏れ、

ベルト類

ヒビ、劣化、弱り、磨耗

亀裂、裂け、緩み、

ミッション系

オイル・本体

滲み、溜まり、小さな異音、磨耗

漏れ、破れ、異音、滑り

クラッチ

汚れ

滲み、溜まり、漏れ、破れ、破裂、滑り

デフ

汚れ、滲み、溜まり

漏れ、異音、ガタ、

ベアリング系

弱り、滲み、

ガタ、破損、漏れ

燃料系

燃料

 

滲み、溜まり、漏れ

パイプ類

弱り

破損、破れ、破裂、ヘコミ、キズ、ヒビ、損傷、ガタ

足回り系

ショック

滲み、弱り

溜まり、漏れ、ヘタリ、破損、曲がり、緩み

ブッシュ類

弱り、ヒビ

破損、破れ、ヘタリ、曲がり、

アクスル系

ジョイント類

 

錆、ヘタリ、破れ、漏れ、滲み、ガタ

ブーツ類

ひび割れ、亀裂

破れ、滲み、漏れ、穴、

ベアリング系

弱り、滲み、

ガタ、破損、漏れ

タイヤ・ホイール

ひび割れ、少なく、○○ミリ、

割れ、亀裂、破損、歪み、スペーサー

外観

レンズ類 *1

ヒビ

割れ、穴、破損、水の混入、切れ

付属品 *2

取外し、取付け、

取外し、取付け、

*1・・・レンズ類は軽度なひび割れは問題ありません。(ひび割れはあるが、ランプユニット内に雨水等が混入していない)が原則
*2・・・メッセージ欄には「取付け不可」「取外し付加」などが正しいと思います


 上記以外にも沢山あると思われますが、言葉のニュアンスで不適合となる可能性がありますので気をつけて下さい。  
  また、コメントの書く順序も出来るだけ上のほうから交換や修理が必要な部分を書くのがコツです。  
  ご説明時にも、上から順に今後の整備内容について説明をすると共に、出来るだけお客様自身でお客様の自動車で確認をして頂いた方が良いと思います。
 
  当社の事例では、平成14年式、ハイゼットカーゴ(LE-S210V) 走行距離107,080kmですが、車検で入庫しました。受け入れ点検で、タイミングベルト、プラグ、エアーエレメント、A/Tオイル、デフオイル、ブレーキオイルなど、消耗パーツなどが交換時期になっていました。そこで、お客様にご説明を差し上げたのですが、「タイミングベルトは交換をしてほしいが、その他の部分は自分でまた後日交換をする」との事でした。  
  タイミングベルトを交換、車検も適合しましたので、お客様に納車をさせて頂きました。
 その1週間後エンジン不調で入庫してきたのですが、原因はプラグが不具合になりエンジン不調になっていました。こうした時、普通お客様は、車検をしたのですから、怒ってクレーム扱いで修理を要求してきます。しかし、この度の場合はプラグの交換をし、お客様に「プラグの不具合よってエンジンが不調になった」事をお伝えしました。  このお客様は逆に「車検の時に良く見てもらっていたのですね」と感謝のお言葉をいただきました。
  実際車検時にお客様に「このプラグで検査は合格しますが、2年間はもちませんよ」と言っていたのと、請求書にメッセージとしてお客様にご確認を頂いたことでご納得して料金をいただきました。  実際、これに似たような事が良くあります。 
  しかし、自社の場合、以前はメッセージをお客様にお伝えするだけで、請求書や見積書に記入をしていませんでした。ご納得いただけるお客様もありますが、ご納得頂けずしかたなしにクレームで処理をしている場合が多かったです。皆様の工場でもこう言ったクレームは無いでしょうか?

  現在は、このメッセージを記入する事とお客様に2度確認することにしていますので、当社の場合はクレームになる事が以前に比べ0%近くになりました。皆様の工場のクレーム発生率はいかがですか?  
  上記の事は、「めんどうだ」「よぶんだ」「仕事が増えるだけ」と思わずに、一度実施してみてはいかがでしょうか?クレームになれば、お客様からは技術料などは貰えず、結局タダの仕事をせざるを得ません。上下を見るとかなりの差にとなりますので、試してみる価値はあると思います。最後に皆様の工場にクレームが発生しないと事をお祈りいたします。
検査員 ヒデ



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