|
このエンジンは、リアミッドシップレイアウトを実現させるために、小型・軽量化を徹底し、後方排気化、補機類の最適レイアウトや45度後傾して搭載することで、優れたスペース効率を実現しています。
まずアルミダイキャスト製シリンダブロックの採用が、大きな特徴といえます。構造のシンプル化と合わせて、従来の鋳鉄製に比べて約10sもの軽量化を実現しています。またモジュール設計による部品の高機能化、軽量化も特徴で、吸気系と燃料系は、樹脂製インテークマニホールド、スロットルボディ、エアクリーナ、燃料デリバリパイプ、インジェクタなどを一体化したエアフューエルモジュールを採用して約1.3sの重量軽減を図っています(図2)。さらにエンジンマウント、オイルポンプ、ウォータポンプ、オイルフィルタブラケットをチェーンケースに集約してモジュール化して小型・軽量化はもとより信頼性も向上させています(図3)。
低騒音・低振動化のために、高剛性シリンダブロックによるエンジンの剛性向上、クランクシャフトの高剛性化、オイルパンをトランスミッションステー一体型のアルミダイキャスト製としてシリンダブロックと結合させることで、静粛性、高回転時のこもり音などを抑制しています。またカムシャフトの駆動チェーンにサイレントチェーンを採用して噛合い音を大幅に低減しています。
燃焼効率を向上させるために、直打式バルブ駆動の狭角(36.6°)バルブ配置で燃焼室をコンパクト化し、強い筒内流動を発生させる斜めスキュッシュピストンの採用、シリンダヘッド先行冷却による高圧縮比化(8.8)、ピストン冷却用のオイルジェットの採用などを行っています(図4)。
さらにMIVEC(連続可変バルブタイミング機構)を吸気側カムシャフトに採用しています(図5、6)。ターボチャージャとの組合せは軽自動車では現在唯一です。運転状況に応じて位相角を50°まで無段階で変化させることで、出力・燃費・排出ガス性能を向上させています。なおターボチャージャは、インタークーラー付きで(図7)、低速のレスポンスを重視した設計になっています。力強い低速性能と滑らかな応答性を実現するとともに高性能を確保しています。
また軽自動車用エンジンとしては珍しく電子制御スロットルを採用して、吸入空気量をきめ細かく制御しています。これによって滑らかな加速性能やドライバビリティの向上、燃費低減や排出ガス低減を実現しています。
そのほか、高回転域を多用する軽自動車のエンジンにとってオイル消費を低減することが要求されます。この問題を解決するために、シリンダライナの変形抑制やピストンリングの改良などを実施して、従来比で約40%の低減を図って、メインテナンス性や環境性能も向上しています。
|
図2:高機能化・軽量化に貢献するエアフューエルモジュール。 |
図3:アルミ合金製のタイミングチェーンケースも部品を集約したモジュール化 |
図4:狭角バルブ配置で燃焼室のコンパクト化を図り,燃焼効率を向上させている。 |
図5:MIVEC(連続可変バルブタイミング機構)で緻密に位相角を変化させて性能を向上させている。 |
図6:MIVEC(連続可変バルブタイミング機構)のスプロケットの作動状況。 |
図7:タービンハウジングとエキゾーストフィッティングを一体化して小型・軽量化したターボーチャージャ。 |
|