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このエンジンの開発で問題になったのは、二つの過給器の連携でした。そのためエアフィルタを通過した吸気がSCで加圧され、その下流にTCを配置して2段階の過給を行なう構造を採用しています(図1)。
SCは、写真4のような構造のルーツ式を採用し、電磁クラッチを介してベルトで駆動されます。SCの役割をエンジンの低回転域の過給に限定し、エンジン回転数の5倍という高速で駆動させてアイドリングから高い過給圧(1.8バール)を発生させます。十分に稼働できないTCの働きを補います。その後エンジン回転数が1500rpmになると最大過給圧の約2.5バールに達しますが、このときSCとTCは、ほぼ同じ過給圧(約1.53バール)で稼働しています。エンジン回転数が上昇し2400rpmを超えると、電磁クラッチでSCの作動の切り離しができるようになります(図2)。さらに3500rpm(SCは17000rpm)以上では完全に切り離され、TCによる単独過給で十分なトルクを稼ぎ出します(図3)。
この間の2400〜3500rpmまでは、SCはエンジンのトルク要求に応じて作動ができる領域になります(図4)。
これら二つの過給器の連携は、コントロールユニットによって制御され、ドライバーはその切換えを意識することはまったくありません。 |
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図2.エンジン高負荷時の過給モード(アイドリング直後)。 |
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図3.エンジン高回転時の過給モード(エンジン回転数3500rpm以上)。 |
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図4.エンジン高負荷時の過給モード(エンジン回転数2400〜3500rpm)。 |
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