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第29回 三菱ランサーエボリューション]のツインスクロールターボエンジン |
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●新開発の2.0リッター4B11 MIVECツインスクロールターボエンジン |
●アルミ製シリンダブロック |
このアルミダイキャスト製シリンダブロックには鋳鉄製のスリーブが鋳込まれ、内径×行程(ボア×ストローク)は86.0m×86.0mに設定しています。またブロックには非共振型ノックセンサを埋め込んであるので、従来の共振型に比べ、より正確なノックコントロールを実現しています。 ピストンには、モータースポーツでも有名なマーレー社製のフルフローティングピストンを採用しています(図4)。このピストンは、材料強度が非常に高く、モータースポーツユースなどでの高負荷にも耐えられるものとしています。 |
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●シリンダヘッド |
これもアルミダイキャスト製です(図5)。これにMIVEC(連続可変バルブタイミング)機構を吸排気両方のカムシャフトに採用しています(図6)。バルブ駆動はカムダイレクトドライブ式としたので(図7)、従来のロッカーアーム式に対して構造の簡素化ができ1kg以上の軽量化を果たしています。吸排気系のMIVEC機構は、従来の吸気側だけの機構に比べ、エンジン回転数、エンジン負荷に応じた最適のバルブタイミング設定ができるようになり、広い回転域でのエンジンの高出力化と低燃費に貢献しています。カム駆動は、タイミングチェーン式を採用したので、バランサシャフトが省かれることで、軽量化ができフリクションも低減しています(図8)。 各シリンダには、独立した点火コイルを設置し、強い点火性能を確保しています。また点火プラグにはM12のロングリーチイリジウムプラグを採用したので、冷却水路の拡大できました。そのため冷却性能が向上し、安定した燃焼が確保でき、信頼性も向上しています。 シリンダブロックとヘッドは、分離冷却方式でウォータジャケットを独立させ、個別に冷却して信頼性を高め、ウォータポンプに遠心式シュラウド一体樹脂インペラ付きポンプを採用しています。 |
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●吸排気系 |
吸気側で等長ショートポートのサージタンク一体型のアルミインテークマニホールドを新開発し、上流に電子スロットルバルブを配しています(図9)。一方排気側ではステンレス製エキゾーストマニホールド(図10)を配し、下流にチタン+アルミのターボチャージャ(図11)を設置しています。ターボチャージャは、コンプレッサホイール形状を最適化してレスポンス向上を実現しています。 ターボチャージャから送り出される圧縮エアは、インタークーラーで効率よく冷却され、インテークマニホールドに送られますが、その間もロスのないようレイアウトの見直しが行われています。さらに下流には、背圧を大幅に低減したエキゾーストパイプがレイアウトされます。後方排気レイアウトの採用で排気管長を大幅に短縮することができます。 触媒には、高性能なメタル触媒を採用し、メインマフラーは車体最後部に横置きされ、左右にテールパイプを2本配した新設計のものにしてメインマフラー容量は21リッターとなりました(図12)。 後方排気レイアウトは、特に始動時の触媒の早期活性化に貢献するので浄化作用を促進します。これにより高性能車で、かつEGRを廃止しながら平成17年基準排出ガス50%低減レベル(三ツ星)を達成しています。これは新しいエンジンマネージメントシステムが最適な燃焼コントロールを実現している証拠といえます。また補機でも効率を考慮して高効率オルタネータを採用し、燃費を約2%向上させています。このような工夫により10・15モード燃費は、ツインクラッチSST仕様で10.0km/リッター、5速MT仕様で9.9km/リッターを実現しています。 |
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