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4輪の力を最大限に発揮するために4WDシステムをベースにACD(アクティブセンターデファレンシャル)、AYC(アクティブヨーコントロール)、スポーツABS(アンチロックブレーキ)およびASC(アクティブスタビリティコントロール)を統合制御するシステムです(図1)。ドライバーの意志や走行状況を的確に把握するためにハンドル角、ブレーキ圧、車両の前後、横加速度、ヨーレイトなどを検知するセンサを装備しています。システム構成を図2に示します。
以下にシステムを構成する要素について、簡単に説明します。
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ACD:センターデファレンシャル(以下センターデフ)の差動制限装置に電子制御に油圧多板クラッチを採用して走行状況に応じて前後輪の差動制限力をフリー状態から直結状態までコントロールすることで、前後輪へ伝達される駆動力を最適に配分し、操舵応答性とトラクション性能を高次元で両立させます(写真2、図3)。 |
A |
AYC:リアデファレンシャル(以下リアデフ)内に設けた左右トルク移動機構によって走行状況に応じて後輪左右のトルク差をコントロールすることで、車体に働くヨーモーメント(旋回力)を制御して旋回性能を向上させます(写真3、図4,5)。また左右輪間のスリップを抑制する制御によってLSD(リミテッドスリップデフ)効果を発揮してトラクション性能も向上させます。これはランサーエボリューションWで世界で初めて採用され、エボリューション[ではデフ機構をベベルギア式から遊星(プラネタリ)ギア式に変更して最大トルク移動量を約2倍に増大した「スーパーAYC」へと進化していました。これをさらに進化させるために、ヨーレイトセンサを用いたヨーレイトフィードバック制御を採用するとともにブレーキ制御も追加して、車両の旋回運動を的確に判断してドライバーの操作に対して、より忠実な車両挙動を実現しました。 |
B |
ASC:各車輪のブレーキ力およびエンジン出力を制御することによって車両姿勢を安定させながら駆動力を確保します。4輪それぞれにブレーキ圧センサを備えることで、より緻密で正確なブレーキ圧制御ができるようになりました。また滑りやすい路面などで発生する駆動輪の空転を防止することで加速時の駆動性能を向上させるとともに緊急回避時などの急激なハンドル操作で生じる車両の横滑りを抑制して車両の安定性能を高めています。 |
C |
スポーツABS:急ブレーキや滑りやすい路面でブレーキを踏んだときに車輪のロックを防止し、制動力・ステアリング操作性・車両安定性を維持します。新たに追加されたヨーレイトセンサやブレーキ圧センサの情報を活用することで、旋回中の制御で性能を向上させています。 |
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図1.S−AWCシステムの機能概要。センサ情報を集めて、ACD、AYC、ブレーキおよびエンジンを制御する。 |
図2.S−AWCシステムの構成図。意のハンドリングと圧倒的なスタビリティを実現している。 |
写真2.ランサーエボリューション]のアクティブセンターデファレンシャルのカットモデル。 |
図3.アクティブセンターデファレンシャルの構造図。前後輪の回転速度差をフリー状態から直結状態までコントロールして前後輪に最適に駆動力を伝達する。 |
写真3.ランサーエボリューション]のAYCデファレンシャルのカットモデル。 |
図4.左輪へトルク移動する場合のAYCデフの作動。 |
図5.右輪へトルクを移動する場合のAYCデフの作動。 |
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