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図4に前方+後方対応型プリクラッシュセーフティシステムの構成部品の配置図を示します。主な構成部品を解説しておきます。
①ミリ波レーダー(フロント):ミリ波帯の電波を前方に放射し、先行車などが存在した場合、その車両からの反射波を受信します。その受信波の周波数変化および電子スキャンによって自車走行車線上の先行車・対向車の有無、先行車・対向車との距離・相対速度などを演算し、そのデーターをドライビングサポートコンピュータに出力しています。なお取付け位置は、フロントグリルカバー裏側のラジエータアッパーサポート部です。
②レーンレコグニションカメラセンサ:車両前方の映像を取り込み、その画像データーをドライビングサポートコンピュータに送信します。
③ドライバーモニターカメラ:コラムカバー上部に近赤外線CCDカメラを配置しています。内部には近赤外線LEDを内蔵しており、昼夜を問わず認識できるものとしています(図5)。ドライバーの顔に反射した反射光は、可視光線が透過しにくい素材でできた外装受光面を通ることで近赤外線が主体となりカメラへ到達します。図6は、ドライバーモニターカメラの構造です。
④ドライバーモニターコンピュータ:ドライバーモニターカメラの画像からドライバーの顔向き度を算出します(顔向き判定機能)。そのデーターをもとにドライバーの鼻孔を検出して瞼の探索範囲を設定したのち上下瞼を検出します。上下瞼の情報から眼の開閉度を求め、その結果をドライビングサポートコンピュータへ出力し、この眼の開閉度を基準にドライバーの現在の眼の開閉度状態を判断します(眼の開閉度検知機能)。図7は、その一連の流れです。
⑤ミリ波レーダー(リア):ミリ波帯の電波を後方に放射し、後続車などが存在した場合に、その車両からの反射波を受信します。その受信波の周波数変化および電子スキャンによって自車走行車線上の後続車の有無、後続車との距離・相対速度などを演算し、そのデーターをドライビングサポートコンピュータに出力しています。
⑥プリクラッシュインテリジェントヘッドレスト:プリクラッシュインテリジェントヘッドレストコンピュータ、頭部位置検出センサ、リンク機構、モーターなどから構成されています。作動時には、ヘッドレストと頭部の距離を頭部位置検出センサによって検出し、ヘッドレストの移動量を調整します(図8)。頭部位置検出センサには静電容量センサを採用し、頭部とセンサの電極間の距離で変化する静電容量を検出しています。 |
図4.前方+後方対応型プリクラッシュセーフティシステムの構成部品配置図。 |
図5.ステアリングコラムカバー上に設置されたドライバーモニターカメラは近赤外線LEDを使用している。 |
図7.ドライバーモニターコンピュータはドライバーの顔向き度と眼の開閉度をドライバーサポートコンピュータに出力する。 |
図8.プリクラッシュインテリジェントヘッドレストの作動概要。 |
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