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 第47回 ホンダのエコアシスト(エコロジカルドライブアシストシステム)

本田技研工業㈱は、ハイブリッドシステムを5ナンバーサイズのボディに搭載して、優れた燃費性能と気持ちのよい走りを実現した5ドアハッチバックのインサイトを発売しました。
このハイブリッドシステムは、従来からのハイブリッドシステムIMAで、さらに一段と進化させたものです(技術トレンド第46回を参照)。


 ハイブリッドシステムを採用することで低燃費運転できるのですが、さらなる実用燃費の向上を目指して開発されたのが、このエコアシスト(エコロジカルドライブアシストシステム)です。

 ●エコアシストのシステム概要

これは実用燃費の向上とエコドライブの普及を目的とするシステムです。①ECONスイッチを押すだけで燃費優先の制御を行う「ECONモード」(エフェクティブ制御)、②リアルタイムで燃費の良し悪しを表示する「コーチング機能」、③ドライバーのエコ運転度を採点する「ティーチング機能(採点機能)/(アドバイス機能)」の3機能から構成されています。
これらによって燃費によいドライビング状態をメーター表示で感じ、自分の運転傾向を知って、その結果を確認することで、より低燃費な運転技術向上に向けて学習するものです。誰もが簡単に気軽に低燃費運転を習得できるシステムです。

 ●エコアシストのシステム構成

 エコアシストの構成部品は、PGM-FI ECU、モーターECU、ECONインジケータ、アンビエントメーター、ECOガイド、ECONスイッチ、AVNユニット、ACコントロールユニットなどから構成されています(図1、写真1)。












 ●ECONモード(エフェクティブ制御)

 インストルメントパネルの右下部に配置されたECONスイッチをONにすることによって、PGM-FIシステム(アクセルペダル開度に対してスロットルバルブの開度を抑えてCVTと協調しながら、より穏やかな発進・加速を行うようにエンジンの出力を制御)、クルーズコントロールシステム、CVTコントロールシステム、IMAシステム(減速時の回生発電量を増加させて電気エネルギーの回収量を増やしたり、アイドリングストップ領域を拡大)およびエアコンシステム(外気温の条件次第で内気循環に切り換えたり、風量を抑えるなどの省エネ化を図る)で燃費向上を図るエフェクティブ制御を行います。
 ECON OFFモード時にドライバーがECONスイッチを操作すると、その信号がコンビネーションメーターに入力され、コンビネーションメーターからPGM-FI ECU、ACコントロールユニットおよびモーターECUにECON ONモードに切り換える信号が送信されます(図2)。この信号に従って各ユニットはエフェクティブ制御に移行します。このときPGM-FI ECUは、コンビネーションメーターにECONインジケータの点灯、マルチインフォメーションディスプレィ(以下MID)にECON ON表示を行うように信号を送信します。
 ECON ONモード時にドライバーがECONスイッチを操作するとECON OFFモードになります。このときの信号の流れは、ECON OFFモードからECON ONモードに移行するときと同様で、信号を受け取った各システムはエフェクティブ制御を中止します。またECON ON/OFFモードの状態は、コンビネーションメーターに記憶されてイグニションスイッチを切っても保持されます。












 ●コーチング機能/ティーチング機能

 この機能は、ドライバーの運転を省燃費の観点から評価し、その情報をアンビエントメーター(スピードメーターの背景色)、MIDのコーチングメーターに表示する機能を言います。この機能によってドライバーが楽しみながら省燃費運転を習熟し、継続的な実践を啓発することで実用燃費を向上させます。
 またAVNユニットを通じて詳細なエコ運転履歴と省燃費運転のアドバイスを表示することでドライバーの省燃費運転技術の上達を助けます(図3)。なおインターナビに接続できる場合は、AVNユニットからインターナビサーバーに対しドライバーの省運転情報がアップロードされ、インターネットから情報を閲覧することができます。さらにドライバー同士の省燃費運転のランキング情報も提供されます。
 システムは、PGM-FI ECUとコンビネーションメーター(アンビエントメーターとコーチングメーター)、AVNユニットで構成されています。
 [コーチング機能およびティーチング機能の制御]
 PGM-FI ECUは、各種センサおよび各種コントロールユニットから受信した情報を元に演算を行い、ECOドライブプロファイルデーターを作成してコンビネーションメーターに送信します。ECOドライブプロファイルデーターは、AVNユニットにも装備されており、AVNユニットは受信してECO情報画面の表示やECOアドバイス情報の表示を行います。
[ECOドライブプロファイルデーターとは]
 PGM-FI ECUが各種センサからドライバーの操作情報を読み取り、省燃費の観点から評価することで作成されるドライバーの省燃費に関わる運転情報です。ECOドライブファイルには、次のような情報が含まれます。
 ①リアルタイム運転情報:ドライバーのアクセル操作量、ブレーキ操作量を省燃費の観点から評価した情報です。この情報からアンビニエントメーターの色の変更、ECOドライブバーの表示が行われます。アンビエントメーターの色は緑に近いほど、ECOドライブバーはバーの伸びが小さいほど、省燃費性の高い運転操作ができていることを示します。なお、省燃費性を評価する概念図を図4に示します。加速時はエンジン回転数とアクセル操作量で表示し、減速時は車速とブレーキによる車速の変化量(G)で表示しています。
②ECOスコア:これはリアルタイム運転情報   やアイドル時間評価、ECON ONモード使用割合の評価を演算することで算出された1ドライビングサイクル平均の省燃費性を表す得点です。この情報からリーフの枚数の表示が行われます。イグニションスイッチをONにしたときから演算を開始し、リアルタイムに演算されます。ただしECOスコアの表示は、エンジン始動後、アイドリングを3分後または200mの走行後に開始されます。ECOステージによって演算の採点基準が異なるので、ステージが進むほどECOスコアを上昇させる難易度が上がります。アクセルとブレーキの踏込み方とECOガイド表示の関係は図5のようになっています。リーフが右へ増えるほどエコ運転度が高くなります。
 ③ライフタイムポイント:ECOスコアを積算することで算出されるクルマの生涯省燃費運転得点です。ただし極端に短い走行や一定速度に達しない場合は積算されません。この情報を受けてECOステージインジケータの表示が行われます(写真2)。また、このポイントはバッテリの取外しやPGM-FI ECUのリセットでは消去されません。
 ④ECOステージ情報:ライフタイムポイントか ら決められるステージで、1stステージ、2ndステージ、3rdステージがあり、ステージが進むごとにECOスコアとライフタイムポイントの採点基準が変更され、難易度が上がり、リーフ表示の形状が決められます。ECOステージのアップ/ダウンは、イグニションスイッチをOFFにしたタイミングでECOステージアップ/ダウンの表示が行われます(図6)。
⑤ECOドライブレコード:イグニションスイッチ をOFFにした後、PGM-FI ECUにドライビングサイクルのECOドライブプロファイルデーターが記憶されます(5ドライブサイクル分のECOドライブプロファイルを保存)。ただし極端に短い走行や一定速度に達しない場合は保存されず、バッテリの取外しやECUのリセットやアップデートで消去されます。なおAVNユニットではPGM-FI ECUから送信されるECOプロファイルデーターを300ドライブサイクル分保存できます。
 このようにゲーム感覚で省燃費運転のスキルを伸ばすことができるため、ユーザーの省燃費意識が啓発され、好評のようです。













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