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駆動用バッテリ:1セルが3.7V/50Ahで4個または8個の電池セルを直列接続したモジュールをつなぎ、合計88セル直列構成の大容量(総電力量16kWh)のリチウムイオン電池を採用しています(写真5,6)。なおリチウムイオン電池は、1セルあたりの電圧がハイブリッドカーに採用されているニッケル水素電池の1.2V、鉛電池の2.0Vに比べて高く、ニッケル水素電池の約2倍、鉛電池の約3~4倍のエネルギー密度があります。また充放電時の継ぎ足しを繰り返すことによる放電電圧の低下や容量の低下がありません。このバッテリは、モーター駆動のほか、空調システムへの電力供給や補機用バッテリへの充電も行います(写真7)。さらに安全性を考慮してセル自体はもちろん、バッテリパックや取り囲むフレーム類など、多重で強固な安全構造を採用して保護しています。
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② |
永久磁石式同期モーター(写真8):通常のモーター用磁石のフェライト磁石に比べ、各段に大きな磁力を持つネオジム磁石を使うことで小型高性能化を実現できます。アイ・ミーブに搭載されたモーターは、最高回転数8500rpm、最高出力は47kW/3000~6000rpmで、モーター特有の低回転域から高いトルクを発生し、最大トルクは180Nm/0~2000rpmです(ターボエンジンの約2倍)。またターボエンジンに比べて、全長は約10㎝短く、重量は約30㎏軽くなっています。エンジンブレーキに相当する回生時には、モーターが減速トルクを発生して回生ブレーキ機能が働きます。このときモーターは発電機として機能し、回収した電気を駆動用バッテリに充電します。なおモーターの冷却は水冷式を採用し、インバータや車載充電器&DC-DCコンバータの冷却も行います。 |
③ |
トランスミッション:1段固定の減速機構とし、専用に開発されました(写真9、図3)。これはモーター特有の低回転域から高トルクを発生する特性によって複雑な変速機構が不要なためです。そのためシンプルな構造で小型軽量化を実現しています。また後退時はモーターを反転させればよいのでリバース機構も廃止しています。
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④ |
車載充電器&DC-DCコンバータ:普通充電用として小型軽量の車載充電器を搭載しています。なおこの充電器は駆動用バッテリから制御系や灯火類・オーディオなどの一般的な電装品に電力を供給する補機用バッテリ(12V)を充電するためのDC-DCコンバータと一体構造になっています(写真10、図4)。
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⑤ |
インバータ:駆動用バッテリとモーターの間に介在してモーター駆動やエネルギー改正を制御します。モーターは三相交流で運転しますので、インバータでバッテリからの直流電流を交流電流に変換するとともにドライバーのアクセル操作に応じて電流・電圧の値を調節してモーターの運転を制御します(写真11、図5)。また回生ブレーキでの充電時も交流を直流に変換する交流/直流変換器として働きます。
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⑥ |
コンビネーションメーター:板面照明に白色LED(発光ダイオード)を採用して、爽やかなイメージと視認性を両立した専用メーターパネルを採用しています。アナログ式タコメーターの代わりに消費電力およびエネルギーの回生の状況を視覚的に表示するパワーメーターを設置しています(図6)。針がグリーンのECOゾーンを示す状態で運転すると、消費電力を抑えることができ、アクセルOFF時はブルーのChargeゾーンを示すことでエネルギーの回生を実感できます。またドライバーのサポートを目的にパワーメーター左側に駆動用バッテリ残量計(図7)、同じく右側に航続可能距離表示を設けています。
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⑦ |
セレクタレバー:本来の優れた走りを楽しめるモード、エコドライブモード、回生ブレーキを強く働かせた走行モードの3モードが選択できます。
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