大きなエンジンはパワーがあり、小さいエンジンは非力というのが、従来のガソリンエンジンの常識でした。その常識を覆すのが、TSIエンジンです。パワーを得ようと大排気量エンジンを搭載すると、必然的に燃費(CO2)が悪化します。高性能と燃費を両立させようとしたのが、このTSIエンジンなのです。
直噴エンジンにターボチャージャ(過給)を組み合わせて、「最小の燃料で、最大のパワーを」追求したエンジンです。直噴は、シリンダ内に直接燃料を噴射するシステムで、燃料の供給量と噴射タイミングの微細なコントロールができます。また過給は、排気エネルギーを利用したターボチャージャやクランクシャフトからベルトで駆動するスーパーチャージャを用いて空気を強制的に燃焼室に送り込んで充填効率を向上させます。さらに直噴エンジンは、燃料がシリンダ内で気化する際に熱を奪うので過給によって上昇した吸入空気の温度を下げるため、高い圧縮比に設定することができます。
TSIエンジンは、この直噴+過給システムで、ガソリンエンジンの弱点である低速域でのトルクを30~50%向上させ、日常の運転で2000rpm以下でもストレスなく走らせることができます。その結果、エンジンを30%以上、小排気量化(ダウンサイジング)することに成功しています。低速トルクの向上とダウンサイジングのよる機械抵抗の低減によって、同等のパワーを持つ従来型エンジンに比べ20~30%の燃費向上を果たしています。 |