クリーンディーゼルエンジン4M41型のシステム図を図1に示しますが、三菱自動車工業㈱ではDI-Dシステムと呼んでいます。これはダイレクト・インジェクション・ディーゼルの略です。
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コモンレール式燃料噴射システム:燃焼を高精度でコントロールするシステムで、燃料を高圧化して供給する高圧燃料ポンプ、高圧燃料を蓄えるコモンレール(蓄圧容器)、電子制御噴射ノズル(燃料噴射装置)、その他センサ類およびこれらを制御するコンピュータで構成されています(写真3)。最大1800気圧という超高圧で霧状に噴射された燃料は、均一に燃えるので不完全燃焼が原因となるPMの発生を抑制し、排出ガスの清浄化に寄与しています。また複数回の緻密な噴射コントロールで急激な燃焼を抑えることでNOxや騒音の発生も抑制しています。そのためエンジンの回転数などによらない噴射圧力コントロールで、排出ガスのクリーン化、低騒音化、低燃費化、高出力化を実現しています。 |
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ターボチャージャ:トルクフルなレスポンスを実現しており、タービンに備えた可変ノズルべーンをエンジンの低回転時には閉じ、高回転時には開くことで排出ガスの流れを制御してエンジンの全作動範囲で最適な過給を実現しています(写真4)。そのため高トルクを確保するほか、燃費低減やPMの抑制にも貢献しています。 |
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NOxトラップ触媒:有害なNOx(窒素酸化物)を無害な窒素に変換するもので、排出ガス中のNOxを触媒に吸蔵させ、蓄積したNOxが飽和量に近づくと、排気燃料添加インジェクタで燃料を供給して吸蔵したNOxを無害なN2(窒素)などに還元します(写真5)。 |
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DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ):燃焼行程で発生したPMの排出を防ぐものです。まずセラミックフィルタでPMを捕集し、PMが一定量堆積すると、排気燃料添加インジェクタの燃料噴射制御で排出ガスを昇温して堆積したPMを燃焼させて除去します。このDPFのクリーニング処理は、走行中に適時自動的に実行しますので、かつてのディーゼルエンジンで大気汚染の大きな原因とされたPMを、ほとんど排出しません(写真6)。 |
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酸化触媒:NOxトラップ触媒とDPFを挟んで2個装着されており、最終酸化触媒はHC(炭化水素)を吸蔵する能力をも持っているためにHCも、ほとんど排出しません(写真7)。 |