環境性能の向上が新エンジンの命題でしたが、「スバルらしい走り」が損なわれないようにロングストローク化(2000㏄エンジンで内径×行程=92×75→84×90㎜)して低中速トルクを向上させて(最大トルク191→196Nm)スムーズな加速を実現しています。また「快適・信頼の新しい走りと地球環境の融合」がスバルの商品開発コンセプトで、その商品を支えるために新エンジンが誕生したのです。開発のポイントは、エンジン自体の燃焼改善とフリクションの低減でした。なお排気量は、4気筒の2000㏄と同2500㏄エンジンで、今後のスバルの主力エンジンとなります。
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ロングストローク化やピストン冠面の深底化、隅の曲率の最適化、斜めスキッシュを採用した燃焼室のコンパクト化を実現して、高い燃焼効率を得て燃費性能と実用性に優れた豊かな低中速トルクを発生します(図1)。 |
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吸気ポート形状(写真3)の最適化やポート内への隔壁設定、TGV(タンブル・ジェネレーテッドバルブ。図2、写真4)の採用、EGRクーラーの採用(写真5)などによって燃費性能を向上しています。 |
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吸・排気バルブともにAVCS(アクティブバルブ・コントロールシステム。図3、写真6)を採用しています。特に吸気側にはバルブタイミングの進・遅角両制御を可能にする中間ロック式として、吸・排気バルブのタイミングを緻密にコントロールして、出力・燃費・排出ガスなどのエンジン性能を最大限の引き出すようにしています。 |
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ピストン(写真7)やコンロッド(写真8)をはじめとした主運動系部品の軽量化や高効率な小型オイルポンプの採用、ローラロッカーアーム、低張力ピストンリングの採用などによって、フリクションロスを約30%低減して燃費性能と回転レスポンスを高めています(図4)。 |
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エンジンの冷却回路をブロック側、ヘッド側に分離させて冷却効果を最適化することやボトムバイパス回路を新設定してエンジンの暖機性を促進させ、油温の上昇を早めてフリクションロスを低減するなどで、燃費性能・出力特性を向上させています。 |
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従来のベルトシステムからチェーンシステム(図5)に変更してメインテナンスフリーを実現しました。またチェーン駆動とすることで、クランク、カムのスプロケット径が小径化され、ロングストローク化に伴う全幅拡大の抑制にも貢献しています。 |
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ヘッド本体(図6、写真9)、カムキャリアの2分割構造を採用して軽量化と整備性の向上を実現しています。
このエンジンは、将来的には電動化技術との組合せ、直噴化、ハイブリッドシステム化などにも対応できる基本構造を有しています。 |
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