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自動運転に脚光 ブレーキ、アクセル、ステアリングという車の主要な操作を自動で行う自動運転車が脚光を浴びている。米ネット検索大手、グーグルが無人で走行する自動運転車の公道試験を米国で開始して以降、自動運転車は「夢の車」として、マスメディアの関心を集めている。自動車メーカーもにわかに、自社の自動運転技術をアピールし始めた。インターネット検索大手のグーグルが、一見して畑違いの自動運転車の開発に取り組むのは、車で移動している間も、ドライバーにインターネットをさせることが目的と言われている。自動車大国であるアメリカは、日常的に車での移動時間が長い。自動運転なら、ドライバーは車で移動している最中も好きなことができ、インターネットを使うこともできる。ネットの閲覧が増えることでグーグルは広告収入の増加を期待できる。すでに4年後の2017年までの実用化を視野に入れているという。 一方、自動車メーカーが取り組んできた自動運転の技術は、あくまでドライバーの運転を補助し、安全性を高めるためのものだ。日本の自動車メーカーでもトヨタ自動車や日産自動車が2000年代初頭から衝突被害軽減ブレーキの開発と実用化に取り組んできている。一定の車速を自動で保つクルーズコントロール、車線をはみ出しそうになると警告音を鳴らしたり、ハンドルを戻そうとするレーンキープアシストなども、運転補助技術として実用化されている。遡ればオートマッチックトランスミッションもマニュアルトランスミッションからクラッチペダルとシフトレバーの操作をなくした自動化技術の一つといえる。
こうした自動化技術は、あくまでも人間による認知、判断、操作を補助するものであって、車が人間に替わって運転を行うことを目的に開発されたものではない。一方、最近になってマスメディアに注目されている自動運転は、人が運転操作に介在しない、グーグルの自動運転車そのもののイメージと言え、意味合いが大きく異なる。 10月に日本で9年ぶりに開催されたITS世界会議でも、自動運転に関連する技術が脚光を浴びた。1990年代から取り組みが始まったITS(高度道路交通システム)は当初、渋滞解消が目的だったが、その役割は安全へと広がりを見せている。ITS世界会議の会場では、自動ブレーキシステムや、自動車メーカー各社が開発中の自動運転技術が披露された。 ボッシュ、コンティネンタル、デンソーといった、システムサプライヤーも自動運転車の時代に向けた準備を始めている。自動車メーカーの要請に応じて、いつでも技術を提供できる準備をしておく、というスタンスだが「まずは交通事故ゼロを達成してからでなければ、自動運転車を実用化することはできない」という認識で共通している。ただ、電子制御やセンサー、カメラによる認識技術は日々進化している。2020年までには自動運転の実用化に向けた技術がかなり進展する、とシステムサプライヤーでは見ている。技術の進化を背景に、日本の自動車メーカーでは唯一、日産自動車が20年までに自動運転車を発売すると表明している。 革新的な技術が普及するかどうかは、技術の信頼性、社会の許容度、制度整備―の3つが揃う必要がある。よく話題に上るのは、自動運転中に事故が起きた場合、責任の所在はドライバーなのか、製品なのか、という点だ。ドライバーの技量低下が引き起こす問題にも対応しておく必要がある。夢の車が実用化され、広く社会に普及するには、まだまだ解決しなければならない課題が多い。 |
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