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タカタ会長が会見、エアバッグ問題で謝罪 自社製インフレーター(膨張装置)を搭載したエアバッグのリコールが続いているタカタ。同社の高田重久会長兼社長が6月25日、初めて記者会見し、米国などで死傷者を出したことや、日本でも大量リコールを発生させたことについて謝罪した。エアバッグのリコール問題でタカタの経営トップが公の場に姿を現したのはこれが初めてだ。冒頭で高田会長は「亡くなられた方にお悔やみを申し上げるとともに、被害にあわれた方に心よりお詫びします。皆様にご心配、ご迷惑をおかけしたことをお詫び申しあげます。このたびは誠に申し訳ございませんでした」と謝罪した。 この日は午前中に定時株主総会が開催された。同社は当初、報道関係者からの要望を受けて、総会の様子をビデオ中継するとしていたが、当日になって急きょ中継を取りやめ、夕方からの会見に切り替わった。予定変更の理由をタカタははっきり説明していないが、会長が自ら記者会見で説明したい、との希望を持っていたとされている。 会見では、記者から「説明がここまで遅れたのはなぜか」という質問が飛んだのに対し、高田会長は「当局や自動車メーカーとの協力を優先し、機会を逸した」と説明した。5月に米道路交通安全局(NHTSA)との間で、予防的リコールを全米に広げることに合意しており、一連の対応のめどがついたとも見ることができる。経営責任について高田会長は「問題の解決が私の責任だ」として、会長・社長を続ける意思を示した。 しかし、肝心の異常破裂の原因はいまだにわかっていない。タカタはドイツの第三者機関に依頼して調査を行っているが、会見では「今のところ真因の特定には至っていない」と繰り返した。また、ガス発生剤に使われている硝酸アンモニウムが原因ではないかとの指摘に対しても、「第三者機関のこれまでの調査結果から、硝酸アンモニウムに問題はない」とし、今後も使用を続けることを明言した。 エアバッグのインフレーターにはバッグを膨らませるガスを発生させる物質として火薬が使われている。タカタ以外のエアバッグメーカーはすべて、安定的な物質である硝酸グアニジンを使っている。タカタは硝酸グアニジンを使ったインフレーターも一部生産しているが、大半は爆発力の強い硝酸アンモニウムを使っており、リコールの代替品や新車にも同物質の使用を継続している。 同社は硝酸アンモウムを使い続ける理由を「安定的であるうえ、ガス発生量が多く、インフレーターを小型化できる利点がある」(清水博取締役)と説明している。しかし、同物質を使ったインフレーターだけが異常破裂を起こす理由や、より安全と見られる硝酸グアニジンに全面的に切り替えない理由について、納得できる説明を会見でも行わなかった。 同社によると、自動車メーカーがエアバッグの火薬の種類までを指定することは通常ない。ただ、今回の問題が発覚して以降は、硝酸グアニジンを指定してくるメーカーも出てきているという。タカタはあくまで硝酸アンモニウムは問題ではないという立場で一貫しているが、原因が分かっていない以上、リコールしたものが再びリコールの対象になる可能性もあり、自動車メーカー側は自衛措置を取り始めたといえる。 予防的なものも含めたリコール台数は、米国で3400万台、日本で784万台に達し、世界合計では5000万台規模に膨らむと言われている。タカタは製造工程上の問題に起因したリコールの費用については、2014年度に526億円の製品保証引当金を計上した。追加された予防的リコールの費用負担がどれくらいに膨らむのかについては、原因が特定できていない、として今回の会見でも言及しなかった。負担の大きさによっては同社の経営基盤を揺るがしかねない。 異常破裂の原因については、自動車メーカー側も調査を行っているが、こちらも原因の特定には至っていない。タカタと自動車メーカーが、この問題をどう決着させるのか、その結論が見えてくるのはまだ先になりそうだ。 |
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