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48ボルトシステム、2016年から欧州市場で登場 欧州の自動車産業が2016年から48ボルト電源を使った電気駆動システムを市場に投入する。20年の二酸化炭素排出ガス規制の強化に向けた対策の一つで、ロバート・ボッシュ、コンチネンタルなどドイツのサプライヤーがシステムの供給を担う。軽や小型車の多い日本でも将来導入される可能性がありそうだ。同システムは48ボルトのリチウムイオン電池とモータージェネレーター、コンバーターなどで構成し、減速時のエネルギー回生と駆動アシストを行う。日本で普及しているいわゆるハイブリッド車が走行全域で駆動をモーターがアシストするのに対し、アイドリングストップやコースティング(走行中のエンジンストップ&スタート)にモーターを使う。 「プリウス」などのハイブリッド車がストロングハイブリッドとすれば、この48ボルトシステムはマイルドハイブリッドと呼べるものだ。電池やモーターが小さいため、コストが安くて済む。電圧を48ボルトにしたのは感電を防ぐためという。 なぜ欧州自動車産業がこの48ボルトシステムに取り組んできたのかといえば、20年の二酸化炭素(CO2)排出規制強化が迫っているためだ。欧州サプライヤーによると、大型の乗用車やSUVはストロングハイブリッドやプラグインハイブリッドで対応できるが、コンパクト車にはこれらのシステムはコスト高で適用できない。 解決策として浮上したのが、少しだけ電動化するというアイデアだ。最も小さい車両クラスは過給ダウンサイジングや直噴化といったエンジンの改良でリッター当たり95グラムという規制を達成できるが、その上のコンパクトクラスはエンジンの改良だけでは規制値への到達が難しいため、48ボルトシステムが適用されていくことになる。 欧州のサプライヤーは揃ってこの48ボルトシステムを市場に導入していく。ボッシュはGSユアサ、三菱商事とのリチウムイオン電池開発の合弁会社をつくっており、電池を含めたシステムでの供給を準備している。コンチネンタルもモータージェネレーターやコンバーターを開発し、それぞれ16年からの市場導入を予定している。欧州自動車メーカーこれらのシステム搭載したコンパクト車を市場に投入していく見通しだ。 48ボルト電源を使って電動化領域を広げる動きもある。仏ヴァレオや加マグナ・インターナショナルといった欧米サプライヤーが電動ターボチャージャーや同スーパーチャージャーを開発している。同システムの市場が広がれば、こうした電動化アイテムの販売も増加することになる。 欧州では以前にも48ボルトシステムの導入に挑戦したことがある。この時は12ボルト系をすべて48ボルト系に置き換えるという案だったため、業界の開発負担が大き過ぎ見送りとなった。この反省から今回は12ボルト系と併存させる。ただ、新たなシステムが付加されるという意味ではコストアップになる。市場に受け入れられるコストをいかにして実現していくかが普及に向けた課題になるだろう。 日本の自動車産業も48ボルトシステムの動向を興味深く見ている。ストロングハイブリッドが普及している日本だが、スズキは専用のリチウムイオン電池とジェネレーターを搭載したエネルギー回生システム「エネチャージ」、さらにモータージェネレーターにより駆動力も補助する「Sエネチャージ」を実用化して軽自動車から搭載した。Sエネチャージは小型車用としては"マイルドハイブリッド"と称し、「ソリオ」から搭載した。 ボッシュやコンチネンタルは日本の自動車メーカーとも取引が拡大している。欧州での48ボルトの普及動向によっては、日本メーカーも欧州市場向けを手始めに同システムの採用に動く可能性は高そうだ。 |
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