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三菱自動車が燃費データで不正 三菱自動車は4月20日、軽自動車4車種の燃費に不正があったと発表した。国土交通省に届け出る燃費測定のための走行抵抗値を、実際よりも燃費が良くなるように改ざんしていたという。三菱自は過去のリコール隠し問題でブランドが失墜。経営不振に陥ったが、三菱グループの支援によって経営再建を果たし、2014年に16年ぶりに復配したばかり。自ら招いた3度目の不祥事で自動車メーカーとしての存続すら危ぶまれる状況になっている。問題となった軽4車種とは、日産自動車との共同出資会社、NMKVが企画・開発して2013年6月に発売した「eKワゴン」「eKスペース」、日産「デイズ」「デイズルークス」。日産の技術的な知見も取り入れた上で、三菱自が開発した。次期モデルは日産が開発することに決まったため、日産が現行モデルの燃費を図りなおしたところ、届出値との間にかい離があることが分かったという。三菱自はこれまでの社内調査の結果を踏まえ、「燃費をよく見せるために意図的に行っていた」と明らかにした。 国交相の立ち入り検査や社内調査により、燃費測定に使う「走行抵抗値」の測定を国が定める方法とは異なる方法で行っていたことや、eKワゴン以外の3車種やその後の改良モデルの走行抵抗値については、本来、実測すべきところ机上で計算していたことが分かった。誤った方法での測定は1991年から始まっていたことも判明した。 三菱自は外部の有識者のみで構成する特別調査委員会を25日に立ち上げた。今後3カ月程度をかけて、原因究明と再発防止策を提案してもらうという。自らも開発者であり、初代eKワゴンの開発責任者を務めた相川哲郎社長は、こうした不正が行われていた実態は知らなかったとした上で、「お客様をはじめ、すべてのステークホルダーにお詫び申し上げます」と陳謝するとともに「きわめて重大な事案であり、会社の存続にかかわる」と強い危機感を表明した。 厳しい状態に追い込まれると懸念されるのは、販売店とこれらのモデルを生産する同社水島製作所(岡山県倉敷市)周辺のサプライヤーだ。問題の4モデルは20日から生産と販売を停止している。三菱自の国内販売の4割は軽自動車で、主力モデルの生産・販売停止が長引くと、経営困難な状況に追い込まれる恐れがある。 特に深刻と見られるのは岡山県総社市を中心に集積する中小の下請け企業だ。ほとんどの企業が三菱自や三菱系のティア1サプライヤーのみと取引していると見られ、生産停止が1カ月以上に及ぶと資金繰りが悪化する懸念がある。三菱自はサプライヤー1社1社に対して影響についての聞き取りを始めているというが、早急に補償を検討する必要があると見られる。 販売への影響も深刻だ。問題を公表した20日以降、1日当たりの軽と登録車を合わせた受注台数は19日以前に比べ半減していると言い、登録車の販売にも影響が出ていると見られる。販売店には車検などのサービス入庫は安定してあるものの、主力のeKシリーズの販売停止が長引くと打撃は大きい。 影響を被るのは三菱系だけではない。共同開発のパートナーである日産は軽の生産こそしていないものの、国内販売の3割超にあたる19万台以上を軽が占める。スズキからのOEM車、「モコ」も販売を続けているが、ほとんどがデイズシリーズであり、販売店への影響は大きい。 国土交通省は燃費データ不正は初めての経験とし、道路運送車両法などに照らして、どのような対応をすべきかタスクフォースを設けて検討を始めている。まずは4車種の走行抵抗値を同省が自ら測り直すとして準備を始めた。この作業によって正しい燃費が確定しない限り、生産・販売を再開できない。過去の2度のリコール問題の教訓を生かせなかった三菱自を三菱グループは再び救うことになるのか。日産が三菱自との提携関係の解消に動くのかどうかも注目される。 |
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