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三菱自に続き、スズキも燃費データ測定で不正 三菱自動車が燃費の測定に必要な走行抵抗値を偽装して国土交通省に申請していた問題に続いて、スズキも国の規定に沿わない方法で走行抵抗値を算出していたことが判明した。両社への信頼が低下したとともに、性善説を前提にした国の型式指定制度の信頼が大きく揺らいだ形だ。 スズキの不正が明らかになったのは、三菱の不正発覚を受け、国交省が全メーカー、インポーターに対し、走行抵抗値が国の規定に沿って正しく計測されているかを確認し、報告するよう求めたことがきっかけだ。スズキは国が定める「惰行法」で実際に車を走らせて計測した値ではなく、装置ごとに計測した数値や風洞実験での空気抵抗を積み上げた数値を惰行法による数値と偽って申請していた。同社の相良テストコースには防風壁がなく、風の影響を大きく受けるという理由で2010年頃から行っていたという。対象車種はOEM供給分も含め26車種、214万台に上る。スズキは5月18日に国交省で行った記者会見で、「燃費を良く見せるために走行抵抗値を偽ったわけではない」と釈明。実際に惰行法で走行抵抗値を測り直した14車種の燃費はカタログ値よりも良いものばかりだった。ただ、国の規定に違反した責任をとって、6月29日に開く定時株主総会後の取締役会で鈴木修会長がCEO(最高経営責任者)の職を返上することと、技術統括の本田治副社長が退任することを発表した。後任のCEOには鈴木会長の長男の俊宏社長が就くと見られるが、修氏は代表取締役会長として残るため、実質的に経営面での大きな変化はないと見られる。 スズキは三菱自と異なり、惰行法で測定した走行抵抗値に基づく燃費とカタログの燃費値にかい離がないとし、不正発覚後も販売を続けている。広告宣伝は以前よりもむしろ活発化している印象もある。しかし、軽自動車の雄として信頼の厚かったメーカーだけに、不正の影響は三菱自よりもむしろ大きなものになる恐れがある。実際、5月の国内販売台数は軽のライバルであるダイハツ工業とホンダが増加したのに対しスズキはマイナスだった。「どれだけの影響が出ているかはわからないが、不正の影響が出ていることは確か」とスズキの関係者も認める。 国土交通省は三菱自の件と同様に、スズキ車についても独自に燃費を測り直すとしているが、6月上旬の時点でまだ三菱自の軽4車種(三菱「eKワゴン」「eKスペース」、日産「デイズ」「デイズルークス」)の計測が終わっていないため、スズキ分の作業はまだ始まっていない。燃費値にかい離はないことのお墨付きが出るまで、販売への影響が続く可能性がある。 一方の、三菱自は益子修会長が「問題の根が深い」というように、再発防止策もまだ国交省に提出していない。日産自動車による34%の出資や開発担当副社長を日産から招へいすることを決めたが、問題の軽4車種の販売再開のメドはまだ立っていない。国交省が独自にすべてのグレードで燃費を図り直す作業を続けているためだ。 国交省は6月中には計測作業を終了するとしているが、三菱自による再発防止策と外部有識者による特別調査委員会の調査報告・再発防止への提言がまとまるまでは、燃費値の再申請を受け付けることができないとしている。生産停止は4月20日以降、すでに2カ月近くに及んでおり、三菱、日産、両陣営の販売店の負担は日に日に重くなっている。 生産を担当する三菱自・水島製作所(岡山県倉敷市)の周辺のサプライヤーはより深刻だ。特に三菱車向けの仕事しか行っていない3次、4次のサプライヤーは生産停止が長引くと死活問題になる。1社でも倒れれば、車の生産ができなくなる。ただ、生産・販売が再開されても、信頼を失ったメーカーの商品がどれだけ売れるのかは未知数だ。 国は今度の不正問題を受けて早速対策に乗り出した。走行試験に国が抜き打ちで立ち会い、不正が見つかれば、メーカー名を公表し、該当する車両の型式申請を却下する。不正を行ったメーカーに対しては一定期間、審査を厳格化する。販売後も工場の監査時に生産ラインから車を抜きとり、実際に走らせて性能を確認する、といった内容だ。メーカーを信頼し性善説に立ってきた型式認証制度だが、一部メーカーの法令順守の姿勢の甘さが規制強化につながった。今回の件では国の検査にも甘さがあったと批判されているだけに、国交省も制度への信頼回復に必至だ。 |
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