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自動車摩擦の悪夢再燃か?トランプ大統領が日本の自動車貿易を批判
米トランプ新政権に日本の自動車業界が揺さぶられている。トランプ氏は就任から3日後の1月23日、多国間の自由貿易協定である環太平洋経済連携(TPP)から「永久に離脱する」とした大統領令に署名するとともに、日本の自動車貿易について、「日本は米国車を日本市場で売れないようにしている。
米国で大量の日本車を売っているにも関わらず、だ」と批判した。自動車はかつて日米間の通商の火種だった。米国の利益を第一に掲げるトランプ氏の大統領就任によって、自動車が再び日米間の通商問題に浮上する懸念も出てきた。
「史上最も雇用を創出する大統領になる」と就任演説で強調したトランプ氏は、メキシコに工場を移転する企業を大統領就任前からツイッターで名指しで非難し、いくつかの企業がその圧力に屈服する形で新工場計画を撤回した。米大手自動車メーカーの一角であるフォード・モーターもその一つだ。 フォードはトランプ氏に批判されてもメキシコでの新工場計画に変更はないとしてきたが1月4日、一転して計画を白紙に戻し、代わりにミシガン州の工場に7億ドルを投資し、新たに700人を雇用すると発表した。 フォードの発表は日本の自動車メーカーには寝耳に水だった。メキシコは日本メーカーも北米向け小型車の生産拠点と位置づけ、サプライヤーも数多く進出している。企業活動への政治介入に対し、「なぜフォードがあのような決定をしたのか分からない」と憮然とした表情で語る業界関係者もいた。 だが、9日にフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)がミシガン州とオハイオ州の工場に10億ドルを追加投資し、約2000人を追加雇用すると発表。トランプ氏にツイッターで「メキシコからの小型車輸入に35%の関税を課す」と脅されていたゼネラルモーターズ(GM)も17日、米に10億ドルを追加投資し、1500人の雇用を維持または新規で雇用すると発表し、ついに米メーカー3社全てがトランプ氏の軍門に下った。 時が経つにつれ、米メーカーの「変心」の理由が少しずつ分かってきた。トランプ氏は23日にTPP離脱の大統領令に署名し、その翌日にフォードのマーク・フィールズCEO、GMのメアリー・バーラCEO、FCAのセルジオ・マルキオーネCEOと会談した。この会談で、フォードのフィールズCEOは「全ての貿易障壁の根源は為替操作にある」と大統領に伝えたことを明らかにした。 トランプ氏は対中国、メキシコと並び、日本との貿易赤字も問題視している。日本は米国に年間160万台を輸出する一方、日本での米国車の販売は2万台に過ぎない。この差が「不公平だ」とトランプ氏は主張している。フィールズ氏は、「為替操作」によってドル高が助長されていることが自動車の貿易不均衡の原因だと指摘した形だ。おりしも、フォードは昨年、日本市場から撤退した。創業家のビル・フォード会長は大の日本嫌いと伝えられており、このところ円安を背景に日本からの輸出が増加していることに不満を募らせていたとも考えられる。 トランプ氏は貿易交渉を多国間交渉から二国間交渉に切り替え、米国に有利な貿易の条件を各国から引き出す考えだ。日本は依然としてTPPを支持する立場を取っており、すぐさま二国間での交渉に突入することは考えにくいものの、安倍首相は米国との間での「自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)が全くないわけではない」とも発言している。自動車の日本への輸入関税はすでにゼロで、市場は開放されている。二国間交渉になれば、またどんな無理難題を突き付けてくるか分からない。 トヨタは大統領就任前のトランプ氏にツイッターで「トヨタがメキシコにアメリカ向け『カローラ』の工場を造ろうとしている。ありえない!アメリカで造るか、さもなければ高関税を払え」と攻撃された。トヨタは即座に5年間で1兆円を米国に投資することを発表したほか、その後、「ハイランダー」の増産、400人の追加雇用など矢継ぎ早に発表した。豊田章男社長は元インディアナ州知事で副大統領のペンス氏と会談を持ったものの、一連の投資計画に対するトランプ氏の反応は不明だ。トランプ氏が日本に何を要求してくるのか。日本政府や自動車業界はトランプ氏の出方を慎重に見極めた上で、対処を考える状況が続きそうだ。 |
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