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トヨタのプラグインハイブリッドは売れるのか?
トヨタ自動車がプラグインハイブリッド車(PHV)「プリウスPHV」を5年ぶりに全面改良して
2月15日に発売した。旧型に対し電池容量を2倍の8.8キロワットアワーに増やし、EV走行距離を2.5倍以上の68.2劼鳳篦垢靴燭海箸最大の特徴だ。ハイブリッド車を抜いてトヨタの次のエコカーという役割を果たすことができるのか。滑り出しに注目が集まる。 プラグインハイブリッド車は外部電源からの充電も可能にしたHVだ。HVは主にブレーキ時に熱として捨てていたエネルギーを電気に転換して駆動力として利用する。これに対し、PHVは夜間の安い電力を利用し電気で走る距離を増やし、ガソリンの消費をさらに減らすことを目的としている。 トヨタはHVの次のエコカーをPHVと位置づけ、初代のプリウスPHVを2009年12月に発売した。しかし、価格が高い上に、EV走行距離が23.4劼斑擦ったことなど、HVとの違いが明確に打ち出せなかったことから思うように販売が伸びなかった。満を持して投入した新型は、EV走行距離を大幅に延長した。内山田竹志会長は「エコカーは普及してこそ環境貢献」とし「ハイブリッドの次はPHV。これがトヨタの答えだ」と述べた。 エコカーの大本命と言えば水素と酸素の化学反応によってできる電気で走る燃料電池車(FCV)だ。トヨタは15年に量産FCV「ミラ」を発売した。ただ、水素インフラの整備はこれからということもあり、トヨタとしては長期的に普及に取り組む方針を示している。これに対し、PHVはトヨタの代名詞ともなったHVの次を担うものであるとトヨタが公言しているだけあって、その売れ行きはトヨタの先行きを左右するといっても過言ではない。月間2500という販売目標を掲げているだけあって、販売にも相当の力を入れるものと見られる。 国内市場ではトヨタのほか、三菱自動車やホンダ、海外メーカーがPHVを販売している。しかし、その売れ行きは一様ではない。2016年のPHVの販売台数は9398台で、前の年に比べ33.9%減少した。トヨタは160台(前年比88.1%減)、三菱自は5201台(同52.7%減)だった。三菱自は燃費不正問題の影響もあったと見られるが、総じて日系のPHVは盛り上がっていない。ホンダに至っては2台(同97.3%減)とほぼ売っていないに等しい状況だ。 これに対して外国メーカー車のPHVは欧州ブランドを中心に新型の投入が続いていることもあり、16年は4035台と前年比3.2倍の大幅に増加した。外国メーカー車はクリーンディーゼル車も14万2660台(前年比74.2%増)となっており、先進技術に関心が高い層からの支持を得ていると見られる。 欧州メーカーがPHVには積極的なのは、21年に欧州の二酸化炭素(CO2)排出規制が現行の130グラム/劼ら95グラム/劼剖化されるためだ。PHVはEV走行があるということで、CO2の排出量計算に一定の係数をかけて優遇されている。PHVは大容量電池とエンジンを搭載するためコストが高いが、高価格帯モデルはコストアップ分を吸収できると考えられ、ミドルクラス以上にはPHVを設定している。トヨタも3月をめどに新型プリウスPHVを欧州に導入する。 米国ではカリフォルニア州のゼロエミッションビークル(ZEV)規制が強化され、18年モデルからはHVがエコカーと認められなくなる。ゼロエミッション車は本来、FCVか電池のみで走るEVだが、移行期の技術としてPHVが認められた。18年からZEV規制は販売台数の基準が引き下げられ、マツダや富士重工業といった中堅メーカーも対象になる。これに伴い、富士重は18年にPHVを、マツダは19年にEVを米国で発売する計画だ。 ホンダはFCV「クラリティ フューエル セル」と同プラットフォームを使ったPHVとEVを「クラリティ」シリーズとして17年中に米国で発売する。トヨタは新型プリウスPHVを新型「プリウスプライム」として16年11月から導入している。日産はEV「リーフ」の全面改良を控えており、加州ZEV規制の強化によって、日系メーカー各社がPHV、EVを一斉に米国市場に導入する。 メーカーにとって悩ましいのは、PHVやEVが実際にどれだけ売れるのか、ということだ。欧州も加州でもCO2規制への対応が目的であるため、一定の台数が売れなければ、ペナルティが課せられる。売るためには、相応の価格設定や車種の拡大も必要だ。 トヨタのHVは16年に世界で140万台を売ったが、主に売れているのは国内で、米国ではガソリン安によって新型「プリウス」の販売不振が続いている。一方、欧州ではフォルクスワーゲンのディーゼル不正問題を背景に前年比42%の増加となり、地域によって売れ行きに凸凹がある状況だ。 少なくとも日本市場ではHVが登録車全体の4割弱を占める106万7千台(前年比13.8%増、自販連調べ)となり、HVは当たり前の技術になりつつある。そのHVと使い勝手は変わらないと言われるPHV、そして充電時間や実用での航続距離に課題があるEVをどう売っていくのか、世界の自動車メーカーの課題になる。 |
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