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センサーのカメラ化により機能が高度化する運転支援システム
緊急自動ブレーキや誤発進防止装置の新車への搭載が拡大している。これらの安全システムを搭載した車両の販売は設定可能車種で7〜8割に達しており、消費者から高い支持を得ている。事故防止の効果が高いとして国交省も大型車に続いて乗用車での装着義務化を視野に入れ始めた。一方で、システムの過信がもたらす事故も起きており、正しい使い方の徹底が一段と重要性を増している。
ダイハツ工業が発売した5月9日に発表した新型「ミラ・イース」。初代はハイブリッド車に匹敵する燃費性能を売りにしていたが、新型は少し様相が異なる。80kgもの車体軽量化を図りながらもカタログ燃費値は現状維持とし、軽量化分を加速性能の向上に使った。「イースのユーザーの要望を聞くと、燃費への不満はほとんどない。むしろもっときびきび走ってほしいという要望があった」(同社)。という。 走りの改善に加えて性能を進化させたのが緊急自動ブレーキだ。従来型は赤外線レーダーをセンサーに使い、前走車への追突を防止するタイプだったが、新型はステレオカメラを採用し、歩行者にも対応した。この新型自動ブレーキシステム「スマートアシスト」は昨年、「タント」から採用を始めたもので、イースが2車種目になる。 カメラの採用によりものの形を捉えることができるようになり歩行者の判別ができるようになった。 自動ブレーキシステムはスバルが「ぶつからない車」をキャッチフレーズに、ステレオカメラを使った運転支援システム「アイサイト」を10万円で売り出してから人気に火がついた。もともと、トヨタ、日産、ホンダなどはミリ波レーダーを使った衝突被害軽減ブレーキを価格の高い上級車に搭載していた。アイサイトが低価格化の先鞭をつけ、赤外線レーダーを使ったより低コストのシステムが軽自動車にも広がった。そして、今やカメラとの併用が主流になり、軽自動車やコンパクトカーにもカメラが使われ始めている。 センサーにカメラが採用されるようになったのは、新車アセスメント「JNCAP」の予防安全性能試験で歩行者対応が盛り込まれるようになったためだ。ミリ波にしても赤外線にしてもレーダーは障害物を検知できるが、ものの形を正確にとらえることが苦手。周囲の情報を画像で把握できるカメラなら形を判別できる。映ったものが何であるかをパターン認識によってコンピューターに覚え込ませておくことで歩行者かどうかを判断できる。 カメラを使うことで、車線の認識も可能になる。車線を逸脱しそうになれば警報を発し、さらに、一部の車種に導入されているように、ステアリングの自動操舵機能を追加すれば、逸脱の防止や車線中央を維持しながら走行する補助も行える。カメラによって運転支援の範囲は広がっている。 自動ブレーキによる事故防止の効果は確実に上がっており、損害保険各社は事故の減少を背景に、自賠責保険料を4月1日から全車種平均で6.9%引き下げた。任意保険も引き下げる方向で検討が始まっている。事故削減に効果があるとして、国交省は大型車に続いて、乗用車に対しても自動ブレーキの装着を義務付けることを視野に入れ始めた。国連での国際基準づくりや性能確認試験制度の導入を検討している。 一方で、システムへの過信や誤った知識が事故を招くケースもある。日産ディーラーが公道で新型「セレナ」の試乗中に自動ブレーキを試すよう客に促し、追突事故が起きていたことが4月になって判明した。セレナのセンサーは単眼カメラだが、同社のホームページを見ると、同機能の使用条件には多くの制約がある。 公道で自動ブレーキを試すことはまずあってはならないが、営業マンの知識が不十分だったことが原因だった。 ディーラーの営業マンにとって、複雑なシステムを熟知することの負担は大きい。しかし、せっかくの運転支援機能を誤って使ったために事故を起きてしまっては元も子もない。本格的な普及を前に、車を売る側にまずは正しい知識を持ってもらうことがメーカーの役割だろう。 |
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