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タカタが経営破綻
エアバッグの異常破裂問題で揺れていたタカタがついに経営破綻した。6月26日に東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し同日受理された。東京地裁は28日に再生手続き開始を決定した。タカタ製エアバッグをめぐっては、2008年に米国でホンダが最初のリコールを出してから約9年。その結末は日本を代表する安全部品メーカーの経営破綻という最悪のシナリオで幕を閉じた。
「これまで支援して頂いた債権者や協力者の方々にご迷惑をおかけすることになり、大変申し訳ない」。 タカタが民事再生法を申請するというニュースが流れたのが6月15日、 それから11日後の26日、翌日に定時株主総会を控えたタカタは取締役会を開き、民事再生法の申請を決定。東京地裁に申し立てを行い受理された。午前11時30分から都内で記者会見したタカタの高田重久会長兼社長は、こう言って頭を下げた。 タカタ製エアバッグをめぐっては、これまで世界で1億個以上がリコール対象になっている。異常破裂によって飛び散った金属片によって、米国ではこれまでに11人が死亡。マレーシアでも死者を出している。タカタはドイツの研究機関に委託して原因究明調査を行ってきたが、真因の究明に至らないまま、15年11月、米道路交通安全局(NHTSA)の同意指令に合意。硝酸アンモニウムを使った膨張装置(インフレーター)の生産・販売中止を決めた。そして16年2月、タカタは包括的な再建計画の策定を外部専門家委員会に委ね、自動車メーカーの意見を聞きながら再建計画を検討してきた。 こうした中で、タカタがメーカーに対し、インフレーターの性能に関し、十分な情報を提供していなかったことが明らかになった。この問題を受け、タカタは17年1月、インフレーターの性能検証試験に関わる報告不備の問題で米国司法省と司法取引で合意した。その罰金の支払いや被害者への補償基金に合計168億円を拠出し、さらに、来年2月までには、自動車メーカーのための基金に953億円を拠出せねばならない。 タカタは「製品供給の責任を果たし続けるには、法的手段によらず、(関係者との合意に基づく) 私的整理が最善」(高田会長)との立場を主張してきたというが、再建資金を提供するスポンサーの選定で自動車メーカーとの調整が難航。ついに「来年2月が期限の米国での支払いに間に合わせるには、もう時間がなかった」(高田会長)と、法的整理である民事再生法の申請へと追い込まれた。 東京商工リサーチによると、タカタの負債総額は子会社も含めた合計で3800万円余りだが、自動車メーカーが肩代わりしているリコール費用は、ホンダが5560億円、トヨタが5700億円と、2社だけで1兆円を超える。他メーカーも含めるとその額は1兆3千億円と見られ、潜在的な負債を合わせた総額は1兆7000億円と東京商工リサーチは試算している。製造業では戦後最大の負債規模になる。 タカタは日本を代表する独立系の安全部品メーカーだ。1933年に織物会社として滋賀県彦根市で創業した。シートベルトとエアバッグを中心に売上高は7千億円で、エアバッグを造るメーカーとしては、日本では豊田合成に匹敵する規模がある。ホンダと国内初の運転席エアバッグを開発した話は有名だ。 民事再生法の申請は、シートベルトやエアバッグモジュールなど健全事業の全てを中国部品メーカー、寧波均勝電子の子会社である米キー・セーフティ・システムズ(KSS)に売却することとセットで発表された。売却額は1750億円と破格の安さだ。高田会長は同社に事業を譲渡する来年3月までに経営責任をとって辞任する考えを明らかにした。 ある自動車メーカーは「こうなることは分かっていたし、仕方がない」というが、自動車メーカーとタカタが一緒になって、もっと早く対策を取っていれば、ここまでの結果にはならなかったという指摘がある。技術の流出に最も警戒しなければならない中国企業に譲り渡すに至ったことは、日本の自動車産業の歴史に残る痛恨事と言えるのではないか。 |
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