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トヨタ自動車が2025年に全車種併売へ
トヨタ自動車は9月27日、2025年をめどに、国内の販売車種を4チャンネル全てで統一する方針を明らかにした。代わりに試乗車を使ったカーシェアリングを本格導入するという。4チャンネルは維持するものの、全車種が併売となることで、事実上、チャンネルは形骸化することになる。販売店の理解を得た上で進めるとみられるが、完全移行は可能かどうか、まだ紆余曲折もありそうだ。
日本経済新聞が27日付の朝刊で報じたものをトヨタが追認した。11月1日に名古屋で開く販売店代表者会議で正式に表明するという。全車種併売化によって、国内の車種数を60弱から30程度に減らす。 トヨタは「プリウス」「アクア」といったハイブリッド専用車を併売化しているほか、「シエンタ」「CH−R」といった車種も全チャンネルでの取り扱いとし、徐々に専売車を減らしている。25年に専売車種を4分の1に減らす方針を示してきたが、今回、これをさらに進め、全車種併売化を打ち出す。 トヨタがチャンネル別の商品政策をやめるのは、国内市場が縮小していくためだ。バブル期に最大777万台を記録した国内市場は500万台に減少し、今後も人口減少や都市部への集中によって新車販売台数はさらに減少することが予想されている。これまでのようにチャンネルごとに専売車を開発することは非効率だ。 そもそも、いまやトヨタのみが維持しているチャンネルとは、市場成長期にシェアを拡大するためものだった。車両のベースは同じで、デザインを変えた車種を多数作り出し、それを看板の違う店舗で売ることによって、顧客を食い合うことなく、販売台数を増やしてきた。トヨタだけでなく、日産やホンダ、三菱、マツダといったメーカーはどこも複数チャンネル制をとってきたが、2000年代半ばまでに全て単一チャンネル化している。 トヨタは販売店の多くが地場資本であることから、チャンネルの統合が最も難しいとされている。2000年代前半にトヨタが行ったのは、ビスタ店とオート店を統合し、ネッツ店を誕生させたことのみだ。トヨタは新たに全車種併売を打ち出す一方で、販売店のアイデンティティであるトヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツの4チャンネルは引き続き維持する方針を示すことで販売店の理解を得る考えとみられる。 ただ、トヨタの中ではすでにチャンネル政策は終わっている。2018年1月1日付の組織改正で、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の各営業本部を廃止し、全国を7地区に分けた地域営業本部に再編した。販売店の手前、チャンネルは維持する、と言い続けているトヨタだが、全車種併売になれば、チャンネルを分ける意味はなくなる。いずれ、チャンネル統合が始まるとみられている。 全車種併売は販売店の抵抗が強そうだ。最も抵抗がありそうなのがトヨタ店だ。トヨタ店では「クラウン」を看板車種としているが、全車種併売となると、最も客層がかぶりそうなトヨペット店もクラウンを売ることになる。「そんなことにトヨタ店が賛成するとは思えない」(トヨタ関係者)。「全車種併売を打ち上げて、その実、資本系列ごとのチャンネル統合を促す狙いがあるのではないか」という見方もある。 もっともらしい理由づけがカーシェアリングへの参入だ。トヨタは駐車場大手、パーク24が展開するカーシェアリングサービスの躍進を見て、自らもカーシェアリングを本格展開する方針だ。全国に4万台ある試乗車を利用するという。チャンネルに関わらず、全ての販売店で同じ車種を貸し出せるようにするためにも全車種併売化が必要だという。トヨタは4月にパーク24と業務提携しており、シェアリングサービスに本気で取り組む意思がありそうだ。 トヨタは米ウーバーテクノロジーズなどライドシェア大手の台頭によって、加速するとみられる「所有から利用へ」の流れに危機感を抱き、シンガポールのグラブ、ウーバーに相次いで出資した。そして、10月4日には両社の筆頭株主となっているソフトバンクとの提携を発表した。トヨタを突き動かしている所有から利用への流れは、トヨタの強固な国内販売網の再編にもつながっていくのだろうか。 |
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