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オートサロンに自動車メーカーが注目する理由 ドレスアップ車・カスタマイズ車の祭典「東京オートサロン2020」が1月10~12日の3日間、千葉市美浜区の 幕張メッセ で開催された。今年は新車の発表も数多く行われ、クルマ好きが集まる展示会として自動車メーカーの注目度も高まっている。 「東京エキサイティングカーショー」の時代から数えて今年で38回目となった東京オートサロンには、 近年、日本自動車工業会が後援に加わり、自動車メーカーも常連として参加するようになっている。各社、モータースポーツ活動の発表の場として活用したり、市販車ベースのカスタマイズ車を出展するのが恒例だ。そして、今年は新車の発表も行われ、メディアの注目も集めた。 ダイハツ工業が2020年半ばに発売する予定の新型軽クロスオーバー車 「タフト」 を発表したほか、トヨタ自動車は2月に発売予定の小型車 「ヤリス」 (ヴィッツの名称を海外名に統一)の高性能モデル「GRヤリス」を、スバルは「レヴォーグ」のSTIバージョンを、そしてホンダが「シビックタイプR」の改良型を発表した。 海外勢も積極的だ。ゼネラルモーターズ(GM)ジャパンとマクラーレン・オートモーティブ・アジア、 そしてボルボが初出展した。このうち、GMジャパンは「シボレー・コルベット」の米国仕様を日本初公開し、21年春に初の右ハンドル車を設定して国内市場に投入すると発表した。マクラーレンは、「マクラーレンGT」などを展示。ボルボも「XC60」の高性能モデルを出展した。これらのメーカーはいずれも、19年の東京モーターショーは出展を見送ったメーカーだ。 なぜ、自動車メーカーが同イベントに注目しているのか。自動車メーカーにはCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)という言葉に集約される技術革新と、それに伴うMaaS(サービスとしてのモビリティ)によって、 クルマは所有したり、運転したりするものではなく、電車やバスのような単なる移動手段になってしまうという危機感がある。個性や走りの愉しさをクルマに求める人たちが 集まる同イベントでは、クルマの商品としての価値をダイレクトに伝えられるという期待感がある。 欧米メーカーやトヨタは「所有から利用へ」という流れに対応するため、あらゆる方策を打っている。しかし、本音は人にハンドルを握ってもらい、走る愉しさ、歓びを感じてもらいたい、ということにある。 クルマという存在が、便利な個人の移動手段であると共に、エモーショナルな面も持ち合わせていることが、自動車メーカーのビジネスを支えてきたからだ。 その一方で、クルマへの関心は失われつつある。各国の自動車工業団体が主催するモーターショーはいずれも来場客の減少傾向に歯止めがかからず厳しい状況にある。このため、昨年の東京モーターショーでは、トヨタが先陣を切って「人が主役」の展示に転換した。毎年1月に開催していた 北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー) は、同じ時期にラスベガスで開催される CES(コンシューマーエレクトロニクスショー) に出展者や来場者を奪われ、今年から6月開催への変更を余儀なくされた。たくさんの人をいかに集めるかに腐心しているのが、世界の国際モーターショーというわけだ。 一方で、「世界の三大カスタムショー」に位置付けられる東京オートサロンのコンセプトは クルマの「個性化」だ。取材に訪れるプレスも来場者も年齢層は年々上がっているが、派手にドレスアップされたアメ車やスーパーカー、日本の自動車産業が伸び盛りだったころのクルマ(旧車)を見に行くだけでも面白い。東京モーターショーではご法度のコンパニオンもたくさんいる。 来場者数も増えている。ここ数年は3日間で合計30万人を超え、今年は前回比1.6%増の33万6060人と過去最高を更新した。自動車メーカーが参加し始めてから、誰もが行きやすくなったという効果もあるが、人気アイドルによるイベントを開催するなど、多くの人に訪れてもらうための方策を打ってきてもいる。日本自動車工業会の豊田章男会長は「オートサロンから学ぶところは多い」としており、昨年のモーターショーでは初めてオートサロンのコーナーが設けられ注目を集めた。 世界の自動車販売台数は、米中2大市場の減速によって厳しい状況にある。このまま、 CASE や MaaS が本格化していけば乗用車は急速に商用車化していくという予測もあり、乗用車メーカーは存亡の危機に立たされる。その一方で、クルマに自分なりの個性や走る愉しみを求める人もいる。オートサロンの人気ぶりは、自動車メーカーに小さな勇気を与えているのかもしれない。 |
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