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4月の新車販売が3割減。コロナ影響顕在化


4月の新車販売が3割減。コロナ影響顕在化

 新型コロナウイルスへの感染拡大の影響が国内の新車販売台数にも如実に表れてきた。 業界団体が5月1日に発表した4月の新車販売台数は登録車軽自動車の合計で前年同月比28.6%減の27万393台となり、 3月の9.3%減に比べ減少幅が大幅に拡大した。 5月はメーカーが生産の一部休止を続けていることに加え、全国規模での外出自粛要請が月末まで続くことが 決まっている。 国内販売への影響がさらに広がる恐れも出てきている。
 日本自動車販売協会連合会(自販連)全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が5月1日に発表した4月の新車販売台数は、登録車が前年同月比25.5%減の17万2138台、軽自動車が同33.5%減の9万8255台だった。3月は登録車が同10.2%減、軽自動車は同7.6%、登録・軽合計では同9.3%減だったことを踏まえると、4月は新型コロナウイルス感染拡大の影響が色濃く出たと言える。
 メーカー別で最も減少幅が大きかったのは三菱自動車で、前年同月比57.2%減と6割近いマイナスになった。次いでスバルが同47.5%減、スズキが同45.2%減、日産自動車が同39.2%減と、三菱自、スバル、スズキの3社が4〜5割の落ち込みとなった。
 一方、トヨタ自動車は同20.0%減、ホンダは同19.5%減と2割の減少にとどまった。全ての乗用車メーカーが海外の需要減少に伴う生産調整で国内外の工場の稼働を一部停止しているが、特にスズキや三菱自、スバルなどは、海外からの部品調達に支障が出ており、これが国内市場向けの生産にも影響が出たもようだ。
 新型コロナウイルスの影響は世界の新車販売台数に影響を及ぼしている。乗用車メーカー8社が4月28日にまとめた3月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の海外販売は前年同月比41.4%減と大幅に落ち込んだ。
 ウイルスの影響から最も早く回復するとみられている中国でさえ3月は同43.4%減の143万台で、前月(79.1%減)よりは改善したものの、依然、大きなマイナスとなっている(中国汽車工業協会発表)。
 欧州も影響が深刻だ。欧州自動車工業会(ACEA)によると、欧州連合(EU)26カ国の3月の新車販売台数は同55.1%減の56万7308台と2月の7.4%減に比べ大幅に落ち込んだ。ドイツ、フランス、イタリア、英国といった大市場で感染が拡大したことで企業の活動制限や外出禁止令が出されたためだ。

 米国ではトヨタなど日系メーカー各社が4月の販売実績を発表したが、トヨタとホンダがいずれも前年同月比54%減となるなど大きな影響が出ている。
 日本国内はこれからさらに経済への影響が拡大することが予想される。 先に爆発的感染となった欧米に比べ、日本では対策が遅くなったためだ。 東京都が都民に「外出自粛要請」を出したのが、東京オリンピックの開催延期が決まった直後の3月25日。そして「遅い」と批判されながら、政府が東京など7都府県に「緊急事態宣言」を出したのが4月7日のことだ。16日には同宣言を全国に拡大したものの、新たな感染者数の減少ペースが遅いとして、政府は5月4日、宣言の期限を6日から31日まで延長すると発表した。宣言の延長により、外出自粛やさまざまな業種や施設に対する営業自粛要請が続くことになる。
 急事態宣言の期限を約1カ月延長したことにより経済への影響がさらに広がる。将来への不安から耐久消費財の購入を後回しする人が増えることも考えられ、たとえ5月31日に宣言が解除されたとしても新車販売への影響が続く恐れがある。
 世界的な需要後退も予想されており、自動車メーカーや部品・素材メーカーなど国内の製造業の業績への影響も深刻化する。
 トヨタは5月12日の決算発表で21年3月期の営業利益が前期比79.5%減の5000億円に減少すると発表した。 販売台数が前年度比21.9%減の700万台まで落ち込むと予想しているためだ。 日産では2020年3月期決算が11年ぶりに最終赤字に転落するほか、三菱自も同期の最終損益が260億円の赤字となる 見通しだ。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)対応のための投資負担が増している ところにコロナ影響で生産・販売が急減していることが影響する。
 サプライヤーの業績にもすでに影響が出ている。4月30日に20年3月期決算を発表したトヨタ系部品メーカーの決算では、ジェイテクトが66億円の最終赤字となり、デンソー、アイシン精機も前年度比で7割を超える最終減益を余儀なくされた。21年3月期の業績見通しは公表しなかった。
 国内の新車販売が落ち込んでいるのは、中国や欧米で企業の活動が制限されたことによって生じた部品調達の問題によるところが少なくない。しかし、調達の問題が解消されたとしても、ウイルス感染の第2波、第3波を防ぐための経済・社会活動の制約が続くことが予想される。それによる“低温経済”が新車販売に影響を与え続けることは避けられそうにない。
 自販連によれば受注状況は前年同期の7〜8割のレベルという。人と物理的な距離をとるソーシャルディスタンスの浸透によって、マイカーが見直されるのではないかという見方もあるが、当面は予断を許さない状況が続きそうだ。




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