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回復続くもペース鈍い新車市場
新型コロナウイルスの パンデミック (世界的な感染拡大)によって5月に前年同月比44.9%減という記録的な落ち込みとなった新車販売台数(登録車、軽自動車合計)が回復しつつある。5月を底にマイナス幅は6月、7月と縮小。8月は7月に比べ、ややペースダウンしたものの、回復基調が続いている。ただ、新車販売は消費税率が上がった昨年10月から8月まで11カ月連続のマイナスとなっており、回復の勢いは弱い。感染状況と景気の先行き次第で、一進一退が続く可能性もある。 日本自動車販売協会連合会と 全国軽自動車協会 がそれぞれ9月1日に発表した8月の新車販売台数は、前年同月比16.0%減の32万6436台だった。7月(13.7%減)よりも減少幅が拡大したのは、軽自動車のマイナスが7月の1.1%減から11.8%減へとマイナスが膨らんだためだ。これは昨年8月の水準が消費税率引き上げ前の駆け込みで水準が高かったことが影響したためで、全軽自協では回復傾向は続いているとみている。 1月からの累計でも徐々にマイナス幅が縮まっている。1〜8月は前年同期比18.6%減と、1〜7月累計の18.9%に比べわずかだが改善した。1〜6月の19.8%減を底に、年後半は回復傾向が続くとみられる。 一方、回復ペースにはブランドごとの格差も見えてきている。1〜8月累計のマイナス幅はトヨタ、スズキ、ダイハツ、マツダの4ブランドが10%台だった一方、ホンダ、日産、スバル、三菱は20%を超えている。 主力車がモデル末期を迎えていることなどが背景にあるとみられ、スバル「レヴォーグ」やホンダ「N−ONE」など、近く予定されている全面改良の新型車効果が注視される。 登録車ではトヨタ自動車が5月から全車種併売に踏み切った影響が表れている。8月の車名別販売台数は1位の「ヤリス」、2位の「ライズ」を筆頭に10車種中7車種がトヨタ車。特にヤリスの台数は1万1856台と、登録・軽総合1位の「N−BOX」に2600台差に迫った。また6月に7年ぶりに全面改良した「ハリアー」の納期は半年待ちという状況だ。全車種併売によって人気車に販売が集中することは予想されていたことだが、トヨタは受注を平準化するため、不人気車に販売奨励金を出している状況だ。 トヨタは市場が厳しい中でも、今年度は国内で140万台の販売を目指している。そのためには特定の車種だけでなく、全ての車種が計画通りに売れることが必要だ。それは豊田章男社長が掲げる国内生産300万台の維持にも関わる。 今後の新車販売の推移はどのようになるのか。登録と軽を合わせた総市場がプラスに転じるのは10月以降になるとみられる。消費税が8%から10%に上がった昨年10月が、前年同月比24.9%減と大幅な落ち込みになったためだ。消費税引き上げの影響が一巡する10月にはプラスに転じる可能性は高い。その後、継続してプラスを保つことができれば、回復が鮮明になる。 感染防止のためのマイカー志向も継続している。トヨタ子会社の デルフィスが8月26日に発表した 「 第2回コロナ禍における『おでかけ』『クルマ』に関する意識調査 」によると、出かけるならどこへ、どのような手段で、という質問に対し、居住地と同一県内にマイカーで出かけたいというニーズが高まっているという。また、コロナ禍を経験し車を買いたくなった人の割合は、お盆明けの今回の調査では15%と、ゴールデンウィーク明けの調査よりも減少したものの、このうち12%の人は実際に車を購入したという。車の購入を中止・延期した人は11%で、車を買いたくなった人の方が4ポイント多く購入意向は高いとしている。
先行きが見えない新車市場だが、テレワークや在宅勤務の常態化など、コロナによる「 ニューノーマル 」(新常態)が車に多様な価値観を与えている側面もある。この動きを捉え、メーカーは サブスクリプション(定額利用)サービス を充実し、車利用の間口を広げようとしている。 トヨタは「 KINTO 」(キント)に5年、7年のプランを追加した。ホンダは中古車向けサービス「 マンスリーオーナー 」を全国展開すると発表。日産も3月に本格展開を始めた「 クリックモビ 」を全国に順次展開している。ディーラーでは非接触で商談、購入、整備受付、引き取り納車などが行えるオンラインストアを開設するところも出てきた。コロナが加速するこれら販売改革の効果も注目される。 |
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