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回復にブレーキ?半導体不足でメーカーが減産 新型コロナウイルスは感染の第3波が襲来し、政府は年明け早々の1月7日、東京、埼玉、千葉、神奈川の一都三県に2020年4月以来の緊急事態宣言を出す羽目に追い込まれた。そのような中でも自動車の販売は回復傾向を示している。12月の新車販売台数は10月から3カ月連続で前年同月を上回った。だが、ここへきて 半導体 の供給不足から、回復にブレーキがかかる懸念が生じている。 新車販売台数は消費税率が8%から10%に上がった19年10月以降、前年割れが続いていた。20年は1〜3月まではマイナス幅が徐々に縮小していたが、新型コロナの世界的な感染拡大による生産の制約、国内の緊急事態宣言によって4月に前年同月比28.6%減、5月が同44.9%減と大幅に落ち込んだ。 しかし、生産の正常化に伴って、7月以降は回復傾向となり、10月には前年同月比29.2%増と13カ月ぶりの増加に転じた。10月に関しては、前年の19年10月が消費税率引き上げの影響で同24.9%減と落ち込んでいたためプラスに転じることが予想されていた。ただ、18年実績に比べても1万2千台少ないだけで、新型コロナの影響は、予想されたほど大きくないとみられている。年間では前年比11.5%増の459万8615台と2年連続で前年を下回るとともに、4年ぶりに500万台を割り込んだが、5月を底に回復傾向が続いている。 ところが、ここへきて別の要因が足かせになる懸念が出てきている。半導体の供給が不足し始めたことだ。 ホンダは1月に鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)の生産を「フィット」を中心に4千台減産する計画という。 日産自動車は追浜工場(神奈川県横須賀市)で生産する「ノート」の生産を同月中に数千台規模で減らす。スバルは群馬製作所の稼働を1月15、16日の2日間、停止し、生産調整を行う。米国工場も1月中に数千台、減産する。トヨタ自動車では影響を精査中としているが、すでに米国の一部車種の生産に影響が出ている。 半導体が不足している原因はパソコン、スマートフォン、ゲーム機などの需要が世界的に拡大しているためだ。新型コロナ感染拡大によって在宅勤務が拡大していることや、外出禁止に伴う「巣ごもり需要」によって、これらの機器の需要が増え、半導体が取り合いになっているという。 半導体といえば、東日本大震災の時、ルネサスエレクトロニクス の那珂工場(茨城県ひたちなか市)が被災したことで、自動車の生産再開に時間を要した。半導体は発注から納品までにかかる時間、いわゆるリードタイムが3カ月以上と長く、足りなくなったからといって、発注すれば明日届くというものではない。半導体工場は24時間365日、自動設備で休みなくフル稼働しており、増産する場合は設備投資が必要になる。コロナ禍による予想外の需要急増に、半導体メーカーの生産能力が追いついていないとみられる。 自動車には数多くの ECU (電子制御装置)が搭載されており、その一つ一つに半導体が搭載されている。最近は先進安全システムの搭載やインターネットとつながるコネクテッド化によって、さらに半導体の搭載は増えている。半導体が一つでも足りなければ車を完成できない。震災時にもメーカー間で半導体の取り合いが生じた。今回は世界的な需要急増という事情から、影響の長期化が懸念されている。 自動車の需要はコロナ禍でも堅調だ。公共交通機関よりも感染リスクが小さいとされるマイカーが見直されていることや、海外旅行などのレジャーに使う予定だったお金を車の買い替えに振り向けている層もあるとみられる。 12月はトヨタの高級ミニバン「 アルファード 」が前年同月比53.6%増の7962台と乗用車販売ランキングで登録車5位。SUV「 ハリアー 」は同5.3倍の8128台で4位といずれも高額価格帯のモデルが上位に入った。 アルファードは、20年の販売ランキングで前年比32.1%増の9万748台となり、ミニバンで初の年間首位になった。トヨタが全チャンネル全車種併売化に移行したことにより、取り扱い店が大幅に増えたことも背景にあるが、厳しい経済情勢にも関わらず、高価格帯の車が売れている。 海外市場でも20年後半は、中国、米国といった大市場でも回復傾向となった。メーカーは主要市場の日米中の需要回復によって、今年度後半の業績巻き返しを見込んでいたところだ。半導体の問題が長引けば業績への影響は必至で、今年度のみならず、来年度にかけても影響が続く恐れがある。コロナ下で日本経済のけん引役を標ぼうしている自動車産業にも不透明感が漂ってきた。 |
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