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新車販売、今年度の見通しは?


新車販売、今年度の見通しは?

2022年度の新車販売台数が18年度以来、4年ぶりに前年度を上回った。依然として500万台を割り込み、新型コロナウイルス感染拡大前の水準には届かなかったものの、半導体不足による新車供給遅れが徐々に解消されてきた格好だ。23年度は当初から値上げが相次ぐものの、受注残解消のための供給増や新型車効果により、コロナ前の水準を回復する可能性がある。

日本自動車販売協会連合会全国軽自動車協会連合会 が発表した22年度の新車販売台数は、前年度比4.0%増の438万5649台だった。特に伸びが大きかったのが軽自動車で、前年度比8.9%増の169万2689台だった。ブランド別の販売台数では、トヨタ以外の全ブランドで増加し、ダイハツが同11.7%増、スズキが同9.6%増となるなど、軽主力の2ブランドがともに1割前後の回復となった。

一方、登録車は前年度比1.2%増の269万2960台と、回復が限定的だった。 マツダ、スズキ、スバルの中堅ブランドが2桁増となったが、トヨタ、日産、ホンダの上位3ブランドが、いずれも微増かマイナスだった。大型車も日野の排ガス不正問題による一部車種での生産・販売の一時停止で同36.5%の大幅なマイナスとなったほか、いすゞや三菱ふそうも半導体不足の影響で減少した。

受注残が積み上がっているにも関わらず、軽に比べ登録車の回復が鈍かったのは、半導量の使用量が軽よりも登録車の方が多いことに加え、急激な円安の進行を背景に、大手メーカーが輸出を優先したことが背景にあるとみられる。国内での新車供給遅れが続いていることを踏まえ、トヨタでは年明けからは国内向けの供給を増やしている。これを反映し、1〜3月のトヨタの新車販売台数は前期比28.5%増と大幅に増加。登録車全体では、日産、ホンダがマイナスだが、スズキ、スバル、マツダなどが増加し、全体で同17.3%増と、年度合計を大幅に上回った。

改善傾向が続いている新車販売だが、水準は依然として低い。総市場は4年連続の500万台割れで、登録車は3年連続で300万台を割り込んだ。軽も急速に回復しているとはいえ、水準としては、リーマンショックや東日本大震災で急激に落ち込んだ08〜11年度と同程度だ。ここからいかにコロナ前の水準に戻し、通常期の500万台レベルにもっていけるかが、今後の市場を占うことにもなる。

1〜3月のペースが年間を通じて続けば、23年暦年では484万台まで回復することになる。乗用車メーカー8社の国内生産台数は1〜2月の累計で前年同期を1割程度上回っているのに対し、輸出は減少している。この調子でメーカーが国内向けの生産を優先すれば、23年の新車販売台数は暦年で5年ぶりにプラスに転じる可能性が出てくる。

懸念があるとすれば、物価高、エネルギー高により家計負担が増す中で、新車の購入意欲が衰えないかどうかということだ。注文したものの、キャンセルが出てくる可能性もある。それに輪をかけて、車両価格の値上げの影響も懸念される。

ホンダと日産は、年度替わりに相次いで値上げを発表した。ホンダは「N−BOX」(エヌボックス)「フリード」「ステップワゴン」という主力車種を4月21日から値上げすると発表した。値上げ幅は1〜2%で、エヌボックスの最も安いタイプ「G」は144万8700円から146万8500円と1.4%の値上げになる。ホンダが値上げするのは、一部改良や全面改良時を除くと初めてとなる。

日産は部品不足の影響で一時停止していた「エクストレイル」の受注を4月10日から再開するのに合わせ、同モデルの価格を3〜10%引き上げた。受注後の価格は351万100〜532万9500円となる。このほか、「キャラバン」「エルグランド」「キックス」「AD」も併せて値上げした。

値上げは昨年からの急激な原材料高によるもので、日産は22年に「リーフ」「サクラ」といった電気自動車(EV)を、三菱自動車も「eKクロスEV」やプラグインハイブリッド車(PHV)の「アウトランダー」を値上げした。今後、他メーカーでも値上げに踏み切るところが出てくる可能性がある。

一方で今年は、新型車の投入もある。トヨタが新型「クラウン」の「スポーツ」「セダン」を 23年秋〜冬、「エステート」と24年に発売すると発表した。 スポーツとエステートはハイブリッド車(HV)とPHVを設定し、セダンにはHVと燃料電池車(FCV)を設定する。

三菱自動車は新型軽自動車「 デリカミニ 」を5月25日に発売する。「eKクロススペース」の後継モデルとなるもので、デリカの名称やデザインを取り入れ、アクティブさを強調したモデルとなる。

今年は東京モーターショー改め「ジャパンモビリティショー」が開催される年でもあり、他にも新型車の発表が相次ぐ可能性が高い。 マツダはロータリーエンジンを搭載したシリーズハイブリッド式のPHV「 MX−30 eスカイアクティブ R-EV 」を14日に国内で初披露した。 年内にも日本で発売する可能性がある。

日本の新車販売台数は、22年に暦年、年度ともに、初めてインドに抜かれ、世界第4位に転落した。厳しい経済環境の下、新車供給の改善と新型車効果でどこまで市場が回復するのか。今年は今後の国内市場を占う試金石になりそうだ。

 




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