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中国BYDに関心 ジャパンモビリティショー


中国BYDに関心 ジャパンモビリティショー


 東京モーターショー改め「 ジャパンモビリティショー 」が東京ビッグサイト(東京都江東区)で10月28〜11月5日まで開催された。 会場では各社のコンセプトカーに加え、空飛ぶ車や小型パーソナルモビリティなど、多種多様なモビリティ(移動手段)が来場者の目を楽しませたが、今回、もう一つの注目ポイントは、初出展の中国・ 比亜迪(BYD) だ。

 2年に一度、開催されている東京モーターショーは、前回は2019年(第46回)に開かれ、本来は、21年に次回が開催される予定だった。ところが、コロナ禍で延期となり、今回の開催は4年ぶりだ。前回は東京五輪の開催を前に、メインの展示場である東館が丸ごと使えないという厳しい条件での開催だったが、今年は全館を使い、音楽ライブや試乗会、トークセッションなど、さまざまな催しが連日行われた。

 自動車への関心の低下から、東京のみならず、欧米のモーターショーも来場者が減少してきた中で、主催者である日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車会長)が出した結論が、「オールジャパン」と「モビリティ」というキーワードだ。

 従来の自動車産業だけでなく、将来の「モビリティ」を担う多様なプレーヤーに参画してもらうショーにし、自動車に関心がないお客も呼び込むことで、100万人の来場を実現することが狙いだ。

 そんなジャパンモビリティショーで、今回、初出展して注目されたのはBYDだった。BYDはEVの販売台数でテスラに次ぐ世界2位だが、今年7〜9月の販売台数は43万1603台と、テスラに3456台差にまで迫った。中国国内向けが中心だが、輸出も行い、日本市場にも今年参入した。BYD車の販売に名乗りを上げるディーラーも増えている。

 BYDの強みは電池を内製していることだ。正極にリン酸鉄を用いるLFP電池を、薄く、長いブレード状のセル(単電池)にし、それを車体フロアに敷き詰めるという設計だ。ジャパンモビリティショーでも、カットモデルが展示されていた。

 LFP電池は三元系(正極にマンガン・コバルト・ニッケルを含むリチウムを使うもの)など一般的なリチウムイオン電池よりも、コストは高いが、長寿命で安全性が高いというメリットがある。BYDは、もともと携帯電話などの電池をつくっていたメーカーで、電池の開発・製造には長けている。自動車メーカーとしては後発だが、日本の金型メーカー、オギハラの群馬工場を買収して日本の車づくりの技術を取り入れるなどし、EVシフトを機に躍進した。電池を内製することにより、競争力ある価格で販売できるとみられる。

 そのBYDは、ジャパンモビリティ―ショーで2つのEVを日本初公開した。一つはミニバン「D9」。BYDとメルセデス・ベンツの合弁会社「騰勢」(デンツァ、メルセデスの出資比率は10%)の製品で、中国では22年にEVとプラグインハイブリッド 車(PHV)を発売している。 トヨタの「アルファード」そっくりのフロントデザインが特徴だ。

 もう一つは、SUVの「U8」だ。高級ブランド「仰望」(ヤンファン)の車種で、中国では23年9月にPHVを発売している。日本での公開はEVのみだ。

 これらは日本での発売が未定だが、日本で発売間近のモデル「シール」(24年春発売予定)も出展した。「アット3」「ドルフィン」と並び、小型車のラインアップが増える。

 テスラやBYDに追いつけ追い越せとばかり、トヨタ自動車日産自動車ホンダをはじめ、日本メーカー各社がEVのコンセプトモデルを出展した。中でも商品化が近そうなのは軽自動車だ。スズキは「eWX」、ダイハツ工業は「ミーモ」をそれぞれ初公開。ダイハツは、軽商用EVも出品した。いすゞ自動車は路線バス「エルガEV」を初公開した(24年度中に発売を計画)。

 一方で、ホンダがハイブリッド車のコンセプトモデル「 プレリュード 」を披露したほか、 マツダ 三菱自動車 はプラグインハイブリッド車(PHV)を公開。マツダはロータリーエンジンを発電機として使うシリーズ式PHVの コンセプトモデル「 アイコニックSP 」を、三菱自が未来の「デリカ」をイメージした「D:Xコンセプト」を披露するなど、EV一色というわけでもなかった。電池コストがまだまだ高く、メーカーにとっては、なかなか利 益を出せないEVの現実が、出展内容にも表れているようだ。

 世界のEVシフトは各国・地域の政府が先導したが、欧州連合や英国では、今年に入って政策の見直しも行っている。その一方で、テスラやBYDといった勝ち組は、自動業界地図を塗り替え始めている。中国政府の支援を受けているBYDは、世界でさらにシェアを伸ばす可能性が高い。勢いづく新興のBYDと守勢に回る日本メーカー。ジャパンモビリティショーは、その対比が際立つショーだった。
















 





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