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2023年の新車販売台数、ようやく前年超えも油断ならず 2023年の新車販売台数がようやく前年を上回る。11月の実績が発表され、12月の結果を待たずに22年を超えた。半導体不足の影響が緩和され、受注残の解消が進んだためだ。ただ、それでもコロナ禍前のような500万台を超える水準には届かない。今のところ、回復基調は続くとみられているが、物価高による購買意欲の減退も懸念され、24年以降の市場は予断を許さない。 日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した11月の新車販売台数(登録車、軽自動車合計)は、前年同月比9.0%増の41万1089台と、15カ月連続で増加した。1月からの累計は、前年同期比14.5%増の441万6247台となり、12月を待たずに、22年(420万1320台)の実績を上回った。新車販売台数が前年を超えるのは、コロナ禍前の18年以来、5年ぶりとなる。 回復が大きいのは登録車だ。登録車は、軽自動車に比べ半導体の搭載個数が多いため、半導体不足の影響を大きく受けた。影響がピークだった22年の販売台数は、コロナ禍前の19年に比べ、2割近くも少ない256万台と、1970年代の水準にまで落ち込んだ。それでも、22年後半以降は、自動車メーカーが設計や調達の工夫を凝らして新車の供給を進めた。この結果、23年1〜11月の登録車販売台数は、前年同期比19.0%増の280万1847台と、前年水準に対し2割の増加というペースで回復が続いている。 ブランド別では、レクサス(前年同期比2.3倍)、トヨタ(28.3%増)、スズキ(19.8%増)、マツダ(10.1%増)が2桁の伸びを示している。大型車もいすゞ(54.6%増)、三菱ふそう(40.2%増)が大幅に増加した。12 月もこのペースで推移すれば、23年の登録車販売台数は、19年以来の300万台超えとなりそうだ。軽自動車も170万台を超える可能性が高い。 とはいえ、コロナ禍前の水準には依然として届かない。12月が11月並みの増加率だったと仮定しても、23年の新車販売台数は祖登録車・軽自動車を合わせて480万台程度とみられ、19年の519万台に比べ39万台の差がある。半導体不足の影響が完全には解消していないという面もあるが、急激な円安による物価高の影響により、需要に陰りが出てきている可能性も指摘されている。 実際、景気に敏感な軽自動車の売れ行きは、11月が前年同月比0.3%増と微増にとどまり、2桁増が続く登録車(11月は16.4%増)との乖離が大きい。1〜11月で比べてみても、登録車の19.0%増に対し、軽自動車は7.0%増(161万4400台)と開きがある。もっとも、半導体不足の影響をより大きく受けたのは登録車であり、いくら回復幅が大きいといっても、登録車の足元の需要が好調だとも言い切れない。 政府は物価の上昇に応じた賃上げを促進しようと、経済界に働きかけを行っている。連合は24年春闘での賃上げ要求方針を、「5%以上」とすることを決めた。23年の「5%程度」から表現を強めており、事実上、今年以上の賃上げを目指すものだ。経済同友会の新浪剛史代表幹事も、「物価を上回る賃上げが必要」と連合の方針に賛同している。 だが、こうした賃上げの流れが大手にとどまり、中堅・中小・零細といった企業の隅々にまで行きわたらなければ、格差はさらに拡大し、一般消費者の生活は厳しくなるばかりだ。自動車を持つことを諦める人や、代替を先延ばしにしようとする人が増えてくる可能性もあり、回復傾向にある新車販売を腰折れさせる恐れが出てくる。 自動車は燃費基準の強化によって、電気自動車(EV)やハイブリッド車などへと電動化していくことが、軽を含めて確実だ。モーターや電池の搭載によって、価格はさらに高くなっていく方向にある。母国市場の浮沈は、日本の自動車メーカーのグローバルでの競争力も左右する。いかに一般消費者に手が届きやすい価格を実現していくのか、自動車メーカーの工夫も必要になる。 |
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