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2024年の新車市場は? 2023年の国内新車販売台数は、登録車・軽自動合わせ、前年を13.8%上回る477万9086台となり、5年ぶりに増加した。半導体不足の影響が緩和して、供給が正常化したことが主な要因だ。24年は物価高やダイハツ工業の認証不正に伴う生産停止の影響などにより、前年を下回る公算が大きくなっている。コロナ前の500万台レベルに到達できるか微妙だ。 日本自動車販売協会連合会の発表によると、23年の登録車販売台数は、前年比18.4%増の303万4167台と6年ぶりに前年を上回るとともに、4年ぶりに300万台を超えた。世界的な半導体不足によって、長らく新車の供給制約が続いてきたが、使用する半導体を汎用品に切り替えるなど、メーカーの工夫によって影響を軽減した。 一方、全国軽自動車協会連合会のまとめでは、軽自動車の販売台数は同6.5%増の174万4919台と5年ぶりに増加した。ブランド別では、トヨタとスバルを除くすべてのブランドが前年を上回り、特に三菱自動車では、新型車「デリカミニ」の販売が好調で、同39.8%増と伸び率が最も大きかった。 年間で前年を上回ったとはいえ、12月は伸び率が前年同月比5.4%増と、11月(9.0%増)を下回った。登録車は11.0%の増加となったが、軽自動車は3.5%減と、5か月ぶりに前年同月を下回った。軽が減少したのは、前年同月の伸びが15.0%増と大きかったことも要因とみられるが、物価高で消費者の購買意欲が低下していることも影響しているとみられる。受注動向を踏まえ、スズキ、スバル、マツダは、23年度の国内販売計画を引き下げている。 24年は物価がどう動くかが、新車需要を左右する大きな要因になるとみられる。特に景気に敏感な軽自動車では、コロナ禍前の190万台前後を回復できるかどうかが焦点となりそうだ。23年10月に6年ぶりに全面改良したホンダ「N-BOX(エヌボックス)」や、同年11月に同じく全面改良したスズキ「スペーシア」の売れ行きが、需要動向をみる上で注目される。 24年は軽EV(電気自動車)の売れ行きにも関心が集まっている。23年12月に三菱自が発売した商用EV「ミニキャブEV」(旧ミニキャブミーブ)に続き、24年春にはホンダが「N-VAN e:(エヌバン・イー)」を発売する。スズキやダイハツも、23年度内に軽商用EVを発売する予定だ。乗用EVの日産「サクラ」、三菱「ekクロスEV」に続き、商用車でもEVの市場を広げることができるのか、売れ行きが注目される。 24年の市場を予測するうえで無視できないのが、ダイハツの生産・出荷停止がいつまで続くのかだ。ダイハツは、衝突安全性能やエンジンに関わる認証試験で不正が拡大し、12月20日からすべての車両の出荷を停止している。第三者委員会による調査報告では、古いもので1989年の不正行為が認められ、その問題の根深さが指摘されている。行政処分の内容次第では、生産停止が数カ月に及ぶ可能性がある。 ダイハツは自社ブランドだけでなく、トヨタやスバルにも車両をOEM(相手先ブランドによる生産)供給している。トヨタ「ルーミー」(ダイハツ名タンク)、「ライズ」(同ロッキー)、スバル「シフォン」(同タント)といった車種だ。特にルーミーは車名別販売台数で常に上位に入る人気車だけに、トヨタの販売にも少なからぬ影響を及ぼすことになる。 ダイハツは軽自動車市場で31%超、総市場でも11%超のシェアを持ち、全車種の生産・出荷停止の衝撃は大きい。需要がスズキやホンダ、日産、三菱といった他ブランドに流れる可能性もあるが、十分な受け皿になりえるかどうかは不明だ。 ダイハツの不正発覚をめぐっては、業界再編の新たな火種になるとの観測も出始めている。エンジンの認証不正を起こした日野自動車をダイムラーグループの三菱ふそうトラック・バスと経営統合することを決めたように、不正発覚を受けて、トヨタがダイハツをグループ内でどう位置付けていくのかによって、大きな動きに発展する可能性もある。 日本の自動車メーカーは、欧米や韓国の自動車メーカーに加え、EVで台頭し始めた中国メーカーとの間でも、今後はグローバルでの競争を余儀なくされる見通しだ。競争環境の激変が、日本の業界再編を促す可能性があり、24年はその動向が注視される。 |
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