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2月の新車販売が大幅減 ダイハツの認証不正響く


2月の新車販売が大幅減 ダイハツの認証不正響く

 2024年2月の新車販売台数が、前年同月比19.2%減の大幅なマイナスとなった。過去30年で2月としては最小で、登録車、軽自動車とも2桁の減少となった。ダイハツ工業や豊田自動織機の認証不正が影響し、トヨタ自動車やダイハツの販売がマイナスとなった。ダイハツが生産を全面停止した1月は、経済産業省が発表する鉱工業生産指数も大幅な低下となり、トヨタグループの不正が日本の生産活動に大きな影響を及ぼしている。

 日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が3月1日に発表した2月の新車販売台数は、登録車が前年同月比16.0%減の22万6769台、軽自動車が同24.8%減の11万8037台となり、いずれも2カ月連続のマイナスとなった。ブランド別でトヨタが同34.0%減、ダイハツが同88.2%減とトヨタグループが大幅なマイナスとなった。

 トヨタグループでは、豊田自動織機がディーゼルエンジン3機種の性能試験で不正を行っていたことが1月29日に判明。トヨタは不正のあったエンジンを搭載する車両(「ハイエース」「ランドクルーザープラド」など)を生産するグループ車体メーカーの4工場6ラインの稼働を停止。 この影響で「アルファード」「ヴェルファイア」の生産も止めた。さらに、ダイハツは12月に認証不正の拡大が判明して以降、生産を全面停止している。2月はその影響が大きく出た格好だ。

 乗用車メーカー8社が発表した1月の生産・販売・輸出実績によると、ダイハツの国内生産はゼロだった。8社合計の国内生産は、前年同月比6.3%減の54万8912と、13カ月ぶりのマイナスとなり、ダイハツの生産停止が全体を押し下げた。経産省が2月29日に発表した1月の鉱工業生産指数は、前月比で7.5%減と大幅に低下。業種別で最も低下幅が大きかったのが「自動車工業」で、17.8%の減少だった。

 ダイハツの生産は、国交省による性能確認試験が完了した車種から再開するが、トヨタ向けが優先されており、ダイハツ京都工場で生産するトヨタ「プロボックス」(マツダ名=ファミリアバン)が2月12日から生産・出荷を再開した。 2月26日にはダイハツ九州(大分県中津市)で生産する大半の車種で生産・出荷が再開されたが、ダイハツ車で最も売れている「タント」(滋賀工場)の生産・出荷再開時期は遅れている。すべての車種の生産・出荷許可には、まだ時間がかかるとみられ、販売への認証不正の影響は3月以降も残る可能性がある。

 ダイハツは、生産出荷停止が長引いていることに伴い、サプライヤーや販売会社への補償を開始。サプライヤーには2月中旬から開始し、販売会社向けも3月末までに開始する方針だ。販売会社では、代車費用や車検費用の負担がかさんでいる。

 一方、トヨタとダイハツは2月13日、ダイハツの新社長にトヨタの井上雅宏中南米本部長が3月1日付で就任すると発表した。 松林淳会長と奥平総一郎社長は退任する。また、トヨタ自動車九州副社長で、トヨタで総務や人事担当の副社長を経験した桑田正規氏がダイハツ副社長に就く。会見したトヨタの佐藤恒治社長は、ダイハツが行っている小型車の開発や生産はトヨタからの「委託」という形にし、ダイハツは軽自動車事業に集中させる考えを改めて示した。ダイハツは開発期間の延長や、認証現場の人員増員により、不正の再発防止を徹底する。

 井上氏は3月1日、社員向けに発出したメッセージで、「成長の過程で、各職場が果たすべき業務の『質と量』が拡大してきたにもかかわらず、現場の声、困り事を吸い上げきれず、課題を残したまま業務を遂行させてしまったことが、今回の不正の原因だと理解している」との認識を示した。急速な事業規模の拡大により、米国で2009年に品質問題を起こしてしまったトヨタの状況と似ているとし、「今は一旦立ち止まり、課題を修正して、再び前に走り出したいと考えている」と述べた。

 軽自動車シェアナンバーワンのダイハツの生産停止は、国内市場や日本の生産活動にも大きな影響を及ぼしている。ダイハツ車不在では、軽自動車市場も活性化しない。トヨタの支援のもとにダイハツが立ち直り、早期に新車供給が正常化することが待たれる。




 




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