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日産とホンダ、協業開始でトップが握手 3月に自動車の「知能化・電動化」の領域で戦略的パートナーシップの検討を開始すると発表していた日産自動車とホンダが8月1日、その具体的な協業の中身を発表した。次世代SDV(ソフトウエア定義型車両)用ソフトウエアの基礎研究を共同で行う契約を締結したほか、電池、eアクスル、商品相互補完、エネルギーサービス/資源循環の領域でも戦略的パートナーシップを結ぶ覚書を締結した。協業の枠組みには、日産とアライアンスを組む三菱自動車も加わることになった。トヨタ勢に続く日本勢第2軸は、協業によって、世界での存在感を将来にわたって示し続けることができるのか。 日産とホンダは3月15日に、「自動車車載ソフトウエアプラットフォーム、バッテリーEVに関するコアコンポーネント、商品の相互補完など、幅広いスコープで検討を進めていく」と発表していた。このときはあくまで検討開始という段階だったため、会見に臨んだ日産の内田誠社長、ホンダの三部敏弘社長はメディアに要求されるも、互いに握手を交わすことはなかった。今回の会見では、握手に続き、がっちりと手を組んだ。 発表内容は大きく2つの領域に分かれている。一つ目が、「次世代SDVプラットフォーム領域」だ。ソフトウエアの開発には莫大な資金が必要であるため、共同研究研契約を結び、両社の人的・資金的なリソースを結集して次世代SDV向けのプラットフォーム開発に取り組む。1年をめどに基礎研究を終了し、成果が出るようであれば、その後、量産開発を検討するという。 二つ目が、「戦略的パートナーシップ深化に関する覚書における主な協業領域」だ。具体的には、①電池のセルとモジュールの仕様を中長期で共通化②eアクスルの中長期の仕様の共通化 ③商品の相互補完④国内での充電サービスや機器、エネルギーサービスの協業/資源循環領域での協業―だ。①に関しては、ホンダが韓国LGエナジーソリューションとの合弁で米オハイオ州に設立した電池会社「L-Hバッテリーカンパニー」製のリチウムイオン電池を、2028年以降、北米で日産に供給することで合意した。また②については、eアクスルを構成するモーター、インバーター、変速機のうち、まずはモーターとインバーターを両社共通の調達先である日立アステモに集約する。③の商品相互補完については、対象地域とモデルで合意した。ガソリン車と電気自動車(EV)で相互補完するという。 協業の目的は、米テスラが先行し、比亜迪(BYD)をはじめとした中国勢が急速に追い上げた「車の電動化・知能化」での生き残りだ。中国では、電動化・知能化の流れに乗り遅れた外資勢が、中国勢に売り負ける現象が起きている。日系メーカーも同じで、三菱自はすでに中国から撤退したが、トヨタ自動車、ホンダ、日産、マツダは、大幅に販売台数を減らしつつ、踏ん張っている状態だ。中国勢の勢いはすさまじく、国内市場だけでは売り切れない車が海外に流出。23年には、日本を抜いて世界一の自動車輸出国になり、24年も世界一となることは確実な情勢だ。 長年のライバルであり、企業文化も異なる日産とホンダの協業が本当にうまくいくのか、懐疑的な見方もある。両社トップも文化の違いを認める。それでも協業に至ったのは、電動化・知能化で中国勢に先行された中で、自分たちが将来も世界の自動車産業をリードしていけるのかという危機感だ。三部氏は1日の会見で、「勝負どころは30年とみている。今、やらなければ追いつけない。今は非常時。これまでの延長線で世界を捉えることはできない」と述べた。 日産の内田氏も、「ジャパンモビリティショーに出したような次世代車の時代が想定よりも早く来てしまうという危機感を覚えてやっている。足りないのはスピード感」と話した。 ライバルは中国勢だけではない。日産、ホンダの世界販売台数(23年度)は、344万2千台(日産)、410万9千台(ホンダ)で、同じ日本勢のトヨタの1100万9千台に遠く及ばない。提携によって台数をまとめることで、開発のコスト、スピードの面でスケールメリットを享受できる。三菱自(81万5千台)も参画することで、3社合計の世界販売台数は、836万6千台となり、トヨタ、フォルクスワーゲンに次ぐ3位の規模となる。 SDV:=ソフトウェア・デファインド・ビークル(Software-Defined Vehicle、次世代自動車) では、頭脳と言える車載OSの開発がカギを握る。ここでは、トヨタでさえ、テスラや新興の中国勢に後れを取った。それだけ、車づくりが従来と大きく変わってきているということだ。ハイブリッド車が見直されていることや円安によって、足元の業績が好調な日本勢だが、将来に向けて背負っている課題は大きい。日本自動車メーカーのナンバー2、3の協業の行方は、基幹産業としての日本の自動車産業の将来も左右する。 |
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