10月の新車販売台数（登録車と軽自動車の合計）は前年同月比1.2％増の40万1210台となり、２カ月連続で前年同月を上回った。軽自動車は3カ月連続で減少したものの、トヨタが10カ月ぶりのプラスに転じたことで、登録車が２カ月連続で前年同月を上回った。トヨタが型式認証不正問題で生産を一時停止していた「ヤリスクロス」など３車種の生産を９月上旬に再開し巻き返したほか、ホンダやスズキの登録車も好調だった。

　 日本自動車販売協会連合会（自販連）によると、10月の登録車販売台数は前年同月比6.6％増の25万9132台となり、２カ月連続で増加した。乗用車の銘柄別では、スバル（同13.0％減）、レクサス（同8.0％減）を除く６銘柄が増加。中でもトヨタが同8.5％増の13万4949台だったことで、９月（同0.8％増）よりも増加幅が拡大した。トヨタは型式認証不正で一時生産を停止していたヤリスクロス、「カローラフィールダー」「カローラアクシオ」の３車種の生産を９月上旬に再開している。供給が再開されたことで受注残の解消が進んでいるとみられる。同月のヤリスの販売台数は前年同月比5.7%増の１万6830台となり、23年７月以来、15カ月ぶりに車名別の販売台数（軽自動車を含む）で1位となった。

　一方、10月の軽自動車販売台数は前年同月比7.3％減の14万3178台と３カ月連続で減少した。スズキとスバルを除く６銘柄がマイナスとなり、減少幅は９月の0.6％よりも拡大した。認証不正問題が尾をひくダイハツは、前月（18.3％減）よりもマイナス幅が縮小したものの、引き続き2桁減となる15.4％の減少だった。

ダイハツの回復が遅れる一方、軽自動車市場でシェア１位に浮上したスズキは、同9.1％増の4万9088台と９月（同5.8％増）よりも増加幅が拡大。3位のホンダ、４位の日産もそれぞれ21.1％減、6.5％減とマイナスとなった中で、シェアが34.3％と2位ダイハツ（31.0％）に３ポイントの差をつけている。ダイハツも追い上げているものの、１～10月の累計ではスズキが38.3％、ダイハツが21.5％と大きく差が開いた。年間では23年度に続き、スズキが18年ぶりにシェアトップに返り咲くのはほぼ確実だ。ダイハツは認証不正問題を受け、短期間開発を見直す方針を示しており、新車投入のペースが遅くなれば、来年以降もスズキのシェア１位が続く可能性がある。

1～10月の累計販売台数は、登録車が前年同期比5.6％減の240万3088台、軽自動車が同10.9％減の129万9141台で、登録車と軽自動車の合計では同7.6％減の370万2179台となっている。11、12月が前年並みとしても、年間で447万台あまりにとどまり、23年実績（477万9086台）を６％程度下回る。同様に登録車は289万台（23年は303万4167台）、軽自動車は158万台（23年は174万4919台）となり、登録車は4.7％、軽自動車は9.1％それぞれ23年実績を下回る。24年はダイハツとトヨタの型式認証不正が影を落とすことになる。

25年は認証不正の影響も小さくなることが予想され、再び増加基調に戻る可能性が高い。登録車ではホンダやスズキの小型SUVの伸びも期待される。ホンダは「ZR-V」「WR-V」が好調だ。３月に発売したWR-Vはインド製であるため、当初、消費者の反応が注目されたが、９月は国産のZR-Vを上回る台数を販売し好調だ。スズキも10月16日からインド製の小型SUV「 フロンクス 」の輸入販売を開始した。 フロンクスは発売前にティザーキャンペーンを行うなど力を入れ、月販計画１千台を大きく上回る９千台を受注した。

10月はWR-Vが3829台、フロンクスが2137台といずれも順調な売れ行きだ。25年はこれらの新型車が台風の目になる可能性がある。軽自動車もダイハツが復調してくれば、スズキとのシェア競争が再び始まり、市場の底上げにつながるとみられる。

日本の新車販売台数は23年にインドに抜かれ、中国、米国、インドに次ぐ世界4位に後退した。市場が低迷したのは、半導体不足による供給制約に続き、シェアの高いトヨタとダイハツで認証不正問題が発覚した影響が大きい。両社の生産が再開されることによって、25年はコロナ禍前の水準である500万台への回復が期待されるところだ。

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