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伸び悩む自動車メーカーの販売台数 その理由は? 国内乗用車メーカーの実績が冴えない。2025年度上期(4~9月)の生産・販売・輸出実績は、世界生産が前年同期に比べ微増、世界販売は増減なしだった。8社の中では、トヨタ自動車が唯一、世界生産・販売ともプラスを維持したが、ホンダと日産自動車はいずれもマイナス。スズキも生産は増加したが、販売は減少した。コロナ禍からの回復がもたついている背景には何があるのか。
乗用車メーカー8社の上期実績は、世界生産が1193万1895台と前年同期比0.5%増と微増にとどまり、世界販売は1199万7580台と前年同期を3600台上回っただけだった。不調だったのは、ホンダ、日産といった上位メーカーのほか、マツダ、三菱自動車、スバルの中堅メーカー。トヨタとダイハツ工業、スズキを除くメーカーが世界生産でマイナス、世界販売はスズキもマイナスだった。 ホンダ、日産、その他中堅各社の実績が伸び悩んだ原因として最も大きいと考えられるのは、米トランプ政権が乗用車の輸入関税を大幅に引き上げたことだ。今春以降、従来の2.5%から27.5%に大幅に引き上げた影響があった。スバルやマツダ、三菱自では、輸出がそれぞれ9.0%減、13.0%減、12.6%減と落ち込んだ。輸出の減少に伴って国内生産も減少し、地元サプライヤーへの影響が懸念されている。政府の交渉で9月16日からは15%に下がったが、従来の2.5%に比べると大幅な引き上げであることに変わりはない。 もう一つは、新型コロナウイルスの感染拡大以降、急速に台頭した中国メーカーの存在だ。これまで中国国内にとどまっていた中国車が、車の電動化・知能化、そして低価格を武器に世界に進出し、欧州や日本メーカーの牙城だった東南アジアなどの市場で攻勢を強めている。中国車の安さの理由は、大量生産によるスケールメリットにある。鉄鋼産業がそうだったように、安い中国製品が世界中にあふれるという意味で「デフレの輸出」と言われるようになっている。
電気自動車(EV)や
ソフトウエア定義型車両(SDV)
も中国車の勢いの源泉になっている。これらの車両の開発では中国メーカーが一歩先をいっており、開発スピードの速さで日本メーカーは圧倒されている。それが如実に表れた中国国内では日本メーカーのみならず、欧米メーカーも苦戦している。中国で起きていることが世界中の市場で起きる可能性があり、日本車は世界での市場シェアを中国車に奪われていく恐れがあると指摘されている。
日本国内も例外ではない。中国・比亜迪汽車(BYD)は26年に軽自動車のEVを日本で発売すると発表し、「ジャパンモビリティショー2025」(10月30~11月9日、東京ビッグサイト)」でコンセプト車「ラッコ」を披露した。BYDの日本での25年度上期販売台数は、大幅な値引き攻勢もあって、前年同期の2.2倍に当たる2372台となり、フィアットやルノーを追い抜いた。軽でも一定のシェアを獲得する可能性がある。
ホンダや日産など各社の実績が伸び悩んだ中、好調だったのはトヨタだった。世界生産は前年同期比6.0%増、世界販売は同4.7%増と、他社と一線を画している。マイナスだったのは国内販売(前年同期比0.4%減)のみで、これとて車種ごとの供給計画に基づくもので、人気車は長納期化が常態化している状況だ。円安の好機を逃すまいと輸出は9.0%増の100万台。国内生産台数(158万台)の実に3分の2を輸出に振り向けたことになる。 トヨタの好調の背景には、EV市場の減速(特に米国)でトヨタが得意とするハイブリッド車が売れていることや、リーマンショック後、米国だけに頼らないバランスの取れた収益構造をつくり上げてきたことがある。何より、年間1000万台という世界一の生産・販売台数を背景とした資金力と持ち前のマーケティング力によって、市場ごとに的確な商品・販売戦略を打てる強みがある。 とはいえ、世界的に政治・経済が不安定化している中で、一寸先は闇という状況はトヨタにも当てはまる。日本メーカーの稼ぎ頭だった米国の変化にどう対処していくのか、世界で台頭する中国車にどう対抗していくのか、日本車全体の課題となっている。 |
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