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ホンダがEVで巨額損失 四輪事業の立て直しは可能か?


ホンダがEVで巨額損失 四輪事業の立て直しは可能か?

ホンダが電気自動車(EV)開発で巨額損失を計上することになった。損失額は2026年3月期と27年3月期以降を合わせ最大で総額2兆5000億円に上る。理由は北米で発売予定だったEV「ゼロシリーズ」の開発および販売の中止だ。これに伴い、ソニーグループとの共同出資会社ソニー・ホンダモビリティのEV「アフィーラ」の発売も中止になった。 

ホンダと言えば21年、就任したばかりの三部敏宏社長が、40年に新車販売の全てをEVか燃料電池車(FCV)のゼロエミッション車(ZEV)にすると発表し、業界を驚かせた。当時、欧州や中国ではEV旋風が吹き、米国でもバイデン政権の誕生により、EVへの補助政策が導入される見通しとなっていた。欧米メーカーが相次いでEV化の方針を表明し、世界の時流に乗ってホンダも思い切った方向転換を図った。

状況が一変したのは25年の第2次トランプ政権の発足からだ。石油を「掘って、掘って、掘りまくれ!」と豪語したトランプ氏は、バイデン政権が導入したEV購入の補助制度(最大7500ドルの税額控除)を25年9月末で廃止した。以降、米国のEV販売台数はどのメーカーも大幅に減少している。ホンダは他社に遅れて26年から「ゼロSUV」「ゼロ・サルーン」「アキュラRSX」のEV3車種の米国での生産・販売を始める計画だったが、市場の急減を踏まえ、量産開始の直前になって中止を決めた。

量産に移行してからではさらに損失が大きくなったとはいえ、計画中止の代償は大きい。26年3月期は、計画中止の費用として8200億~1兆1200億円を計上することで最終損益が6900億円の最終赤字に落ち込む予想だ。ホンダの赤字は上場以来、初めてとなる。さらに、27年3月期以降も計画中止に伴う費用がかさみ、合計で損失額は最大2兆5000億円に上るという。その多くはサプライヤーへの補償だという。会見した三部社長は、ゼロシリーズの計画の中止について「断腸の思い」と述べるとともに、40年の脱ガソリン目標について「現実的には達成困難」とした。

ホンダはZEVへの経営資源集中のため、エンジン部品や変速機部品などエンジン車の部品を生産してきた真岡工場(栃木県真岡市)を25年末で閉鎖することを21年に発表するなど、経営資源をエンジン車からEVに急速に振ってきた。だが、補助金頼みのEVに経営資源の多くを投入することのリスクは常に指摘されていた。思い切った決断が裏目に出た格好だ。

政策に翻弄されたとはいえ、トヨタ自動車はハイブリッド車(HV)やガソリン車も含めた複数のパワートレインを残しつつEV化にも備えている。トヨタとは企業規模が異なるとはいえ、EVに振り過ぎた経営判断が今となってはホンダの足かせとなっている。経営責任をとって三部社長ら役員は報酬を減額するが、それで十分なのかという指摘もあるほどだ。5月には今後の事業戦略を発表するとしており、まずは米国で需要が増加しているHVで巻き返すなど、手堅い戦略に戻す必要がある。

もっとも、EVが世界的に落ち込んでいるわけではない。中国ではEVのシェア上昇が続いているほか、欧州も低価格の中国車の流入により、再びEVの市場が拡大に転じている。日本でもトヨタがEV「bZ4X」の販売を増やしている。ホンダもゼロシリーズのうち、インドで生産する小型車「ゼロα」の販売は中止しない予定だ。

だが、世界的に広がる中国製EVに対抗するためには、単にEVというだけではなく、ソフトウエアが車の機能や性能を司る「ソフトウエア定義型車両(SDV)」であることが必須の時代になった。ホンダでは中国で25年に発売したEVの新型車「イエ」シリーズが振るわず、第2弾の発売を中止した。商品の抜本的な見直しが必要という。

中国のEVに対抗するには、開発のスピードアップや独創的な商品によってブランドそのものを強化する必要がある。ホンダは26年4月1日付で四輪車の開発を本田技術研究所に戻し、商品力強化に舵を切った。20年に本社に商品開発機能を統合し、開発から生産までの一貫体制を構築したものの、十分な効果が出なかったためだ。従来の仕組みに戻すことで、商品開発力を強化する狙いがある。

ホンダは世界一のシェアを持つ二輪車事業の利益率が高く、収益を支えてきた。二輪車が持ちこたえているうちに四輪事業を立て直すには、売れる車種をどれだけ多くの地域にどれだけ多く投入できるのかにかかる。経営者が足元の現実を踏まえつつ、将来にも備える「両面作戦」をいかに推進できるかがカギになる。

 




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