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中国で日本製品不買、その影響は?


中国で日本製品不買、その影響は? 沖縄県・尖閣諸島を日本が国有化したことによる中国での反日感情の高まりが、日本企業の中国でのビジネスに影を落としている。日本車の中国での販売は半減し、トヨタ自動車日産自動車ホンダなど日系各社の現地合弁工場では一部工場の稼働停止など生産調整に入っている。尖閣問題をめぐって日中間の折り合いはまだついておらず、反日感情がすぐに回復するとは考えにくい。販売の低迷が長引けば、各社の中国ビジネスの計画に影響が出てくる可能性がある。
 日本政府による尖閣諸島国有化に反発した暴動が中国で発生したのは9月中旬。同月の日本車の販売は、トヨタが前年同月比49%減、日産が同35%減、ホンダが同40%減など、全ての日系ブランドが3〜6割の減少を余儀なくされた。TOYOTA NISSAN HONDA同月の中国全体の新車販売台数も前年同月比1.8%減と8カ月ぶりの減少になり、日本車の販売不振が全体市場に影響を及ぼした格好だ。
 10月に入っても日本車の不振は続き、トヨタ自動車は天津工場での生産を一部休止するなど生産を半減させている。日産も工場のシフトを昼夜2直から昼勤だけの1直に切り替えている。ホンダも当面は販売不振が続くと見ている。
 中国に進出している部品メーカーの工場にも影響が出始めている。自動車メーカーの稼動調整に応じた生産調整に入っているほか、小糸製作所では来春に予定していた中国での増産投資を見送る方針だ。このほか、生産量の減少で生じる余力を埋めるべく、東南アジアなど他地域向けの生産を中国の工場で行う検討を始めた部品メーカーもある。
 中長期的な中国市場の重要性は変わらないという見方が自動車メーカー、部品メーカーともに共通した姿勢だが、国民の反日感情が根底にあるだけに、販売の回復までにはある程度の時間がかかると見ているようだ。日産は10月中旬の時点で「今後2カ月の間に正常なペースに戻ってくれればいい」(西川廣人副社長)との見通しを示した。ホンダは10月29日の決算会見で「来年2月の春節明けには元の状態に戻るだろう」(岩村哲夫副社長)との見通しを明らかにした。だが、販売不振の理由が反日にあるだけに、各社、日々、販売現場の様子を見ていくしかないというのが本音のようだ。
 年間の新車販売台数が1800万台と、米国を抜いて世界一の市場へと急成長を遂げた中国。中国の自動車販売台数と生産台数の推移ゼネラルモーターズ(GM)、フォルクスワーゲン(VW)といった欧米メーカーに比べ中国での事業展開が遅かった日系メーカーは、トヨタ、日産、ホンダを足しても中国での市場シェアは10数%だ。スズキ三菱自動車マツダを含め、日系各社がこれから中国での生産を拡大していこうという計画を描いていただけに、販売の回復が長引けば、能力増強計画も見直さざるを得ない。
 部品メーカーでは2012年度業績見通しを下方修正する企業が出始めた。小糸製作所エフ・シー・シー東海ゴム工業が中国での受注減少を理由に売上高、利益を下方修正。スタンレー電気は「中国での日本製品の販売不振により合理的算出が困難」として通期業績見通しの公表を見送った。今後、業績見通しを下方修正する部品メーカーは相次ぐと見られる。
 中国での販売不振の影響は長引けば長引くほど日系メーカーおよび部品メーカーの業績に悪影響を及ぼす。日本車の世界販売の1割強を占める中国販売が半減すれば、それだけで日本車の世界販売を数%押し下げる。これを埋めるには、比較的市場が好調な北米、経済成長が続く東南アジアでの事業を強化するしかない。しかし、東南アジアは成長するとはいえ規模が小さく中国の穴を埋めるのは難しい。インドも市場の拡大スピードが緩い。中国の早期回復を待ちつつ、北米での販売拡大や南米ブラジルへの本格参入が急がれそうだ。




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