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進展する軽量化技術


 車の軽量化技術が進展している。ホンダは鉄とアルミをつなぐ技術を相次いで量産化、日産自動車は超高張力鋼板(超ハイテン材)の採用を拡大する。軽自動車ではスズキが新型軽自動車「スペーシア」でハイテン材の採用を増やした。車の燃費はエンジンやトランスミッションの改良、ハイブリッド化で大きく改善してきたが、軽量化技術の進化により、さらなる改善が見込めそうだ。
 ホンダは、通常、鉄を使っていた部分をアルミに置き換える2つの新量産技術を実用化した。1つは摩擦攪拌接合(FSW)を使い、アルミと鉄を摩擦熱で接合するもので、北米「アコード」のフロントサブフレームに適用した。FSWで鉄とアルミと接合する技術はマツダがボンネットなどに適用した例があるが、ホンダは接合の強度を高め、エンジンを支えたり、サスペンションを保持するフロントサブフレームに適用した。旧型の北米アコードのフロントサブフレームにはボルトで固定することでアルミを部分的に採用してきたが、新技術によりアルミの適用範囲を広げ、従来比で25%(6キログラム)の軽量化を実現した。

【Honda独自のFSW技術を使った「フロントサブフレーム」】

【Honda独自のFSW技術を使った「フロントサブフレーム」】

※ホンダのHPより転載

 もう1つの技術は、ヘミング(かしめ)と接着剤とで鉄とアルミを「結合」するというもの。3月発売の北米仕様「アキュラRLX」(日本では新型レジェンドとして2014年に発売予定)のドアに採用した。鉄板とアルミ板を重ねて2段階でかしめる「3Dロックシーム」という技術を新開発し、ドアパネルの外側部分(アウターパネル)をアルミ化。従来のオール鉄製のドアに比べ重量を17%軽量化できた。

【2段カシメの構造図】

一般会計税収の推移
※ホンダのHPより転載

 ホンダが中型車以上の車をアルミを使って軽量化するのは、適材適所に鉄の3分の1の軽さのアルミを使うことにより、車の走行性能も向上するからだ。
2つのモーターを使う新しいHVシステム 燃費だけでなく、運転する楽しさも両立する考え方は、次世代電動技術として2013年から展開するパワートレーンシリーズ「スポーツハイブリッド」にも表れている。このうちの1つが2モーターを採用した中型車用ハイブリッドシステム「スポーツハイブリッド I−MMD」(インテリジェントマルチモードドライブ)で、同システムを搭載した「アコードハイブリッド」を6月に発売する予定だ。
 スズキは従来車「パレット」に対し90キログラムもの軽量化を実現した新型軽自動車「スペーシア」を発売した。鉄が使われている部分には重量比で42%にハイテン材を使い、最も強度が必要とされるフロアサイドには引っ張り強度が1180メガパスカル級の超ハイテン材を採用。全高1700mm以上のハイト系軽自動車で最も軽い840キログラムの車両重量を実現した。
 クラストップのリッター29キロメートルの燃費性能は、「ワゴンR」から採用した減速エネルギー回生機構「エネチャージ」、新アイドリングストップシステムの貢献度が4割を占めるものの、軽量化の貢献度も25%に達する。溶接点を増やしてボディ剛性も高めたことにより、軽快な走りを実現した。

【エネチャージのシステム】

【エネチャージのシステム】

※スズキのHPより転載

 日産も超ハイテン材の採用拡大を進める。1.2ギガパスカル(1200メガパスカル)級を含む超ハイテン材の採用割合を2017年度以降に発売する新型車では25%にまで拡大すると発表した。1.2ギガ級は今年北米で発売予定の「インフィニティQ50」(次期スカイライン)から採用を始めるもので、新日鉄住金、神戸製鋼所と共同で高い成形性も確保し適用可能範囲を拡大した。超ハイテンの採用拡大とともに、17年度以降の新型車では車体の構造を合理化することで15%の車体軽量化を図る。
 車両の重量は安全装備の充実、電子制御化などに伴い、益々重くなる方向にある。ボディの軽量化は一段と重要性を増すと見られ、鉄とアルミの異材接合や部品の樹脂化など、新しい技術の採用が広がりそうだ。




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